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刻命館VS帝國華撃団 帝都妖異譚
外伝
過去編 李紅蘭
紅蘭の大連脱出
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ぬ少女、若干名の便乗希望者を乗せるとすぐさま出港準備にかかる。一応海軍の戦艦が来るというので関東軍の(一部の評判の悪い連中は借りてきた猫の様になったという噂だ)将校が挨拶に来たが適当に世間話で終わらせる。
 吉川艦長はあやめと保護対象の少女を貴賓室へ迎え入れると、最低限の敬礼を交わした後、話を切り出す「急を要するとのことですが、外からもご覧の通り本艦は練習戦艦です」あやめも第四砲塔が撤去されている事を視認している。「(ボイラー)も一部撤去されていますので他の『金剛』のような高速は期待できません、」吉川艦長はニヤリと笑みを浮かべて続ける「しかし、練習戦艦です」
黄海から日本海は現在大しけである、そして軍艦というものは一般人が想像するのとは異なり、敵からの打撃に備えるため船体のあちこちに無理がかかっている為、単純にフネとして見た場合、理想的なものではなく、悪天候には弱いのである。
しかし現在の「比叡」は「邪魔物」の装甲と砲塔を一つ撤去しているのだ。「ええ、練習戦艦ですね」艦長の意図を察したあやめは応じる。
「というわけで大船に乗った気持ちで居てください」
「まさしく、大船ですね」あやめは微笑を以って答える。
艦長は彼女たちに付けた従卒を紹介すると艦橋へと戻っていった。

1919年(太正8年)3月10日一五時三〇分 神戸港 練習戦艦「比叡」
 「比叡」艦長吉川安平大佐は、藤枝あやめ陸軍中尉の敬礼に対し色気のある敬礼を返す、
「本当に感謝いたします、艦長、あの嵐の中を本当に全力発揮されるとは」
「いえ、礼には及びません、国家の大事ですから」意味深に吉川は答える。
藤枝中尉を送り出した後、吉川はひとりごちた、「全く見事な ピラミッド(ムネ)だったぜ、しかし米田中将って奴は一体何なんだ、おっとこれがバレたら KA(かかあ)にブチ殺されるぜ」

 すでに米田の手により京都帝国大学病院より神戸の陸軍とつながりのある病院に一流の産婦人科医が派遣されており、あやめと紅蘭は陸軍の差し回した車に乗り極秘裏に入院した。
 一方の艦長吉川安平大佐以下乗員はというと、大急ぎで戦艦が内地に戻って来たことへの海軍側からの報道各社への工作は済んでおり、、というよりも既に民間人にも意図的なリーク含め目立つ戦艦が嵐の中緊急帰国したこと自体隠しようがなく、「嵐の中不完全な状態で重病の邦人のために全力航行した『比叡』と乗組員はすごい」と既に民間で勝手に賞賛されており(実は「不完全」だからこそ荒天に対して有効だったのだが)、艦長吉川安平大佐は報道陣に取り囲まれるハメになった。報道各社も空気を読んで「装甲とか取っ払ったから実は荒天に向いた状態」などと野暮なことは書かず、邦人保護と荒天下の航行という客観的事実のみを褒め称えた。単なる軍艦好きは一般にも多かったが、一部のそ
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