そこで俺と彼女は出会う
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
目をやる
「ああ、悪い。どうしたものかと思ってな」
「何が?」
「いや、だってろくにこの部活の説明受けてねぇしわけわからんままここに連れてこられたもんだから」
俺がそういうと舌打ちのかわりなのか不機嫌さを露わにして本をぱたんと閉じて机に置く
「ボランティアって言葉を知っているかしら?」
なんで俺はそんな蔑むような目で見られなくちゃいけないんですかね
そんなに俺と話をすることが苦痛なんですか
「そんなことぐらい知ってる」
「そう、てっきりそれすらも知らないのかと思って焦ったわ」
「俺は何も知らない無能な前提なのかよ……」
「あら?自覚があったのね」
こいつ本当にむかつく、顔その他諸々はいいのにここまで人を見下してくるとは……ガンジーのような心を持つ俺でも流石に怒るぞ
あ、でもガンジーって息子のこと殴ってたんだっけ?意外とキレやすいのかな?
「それでそのボランティアがどうしたんだよ」
早乙女は立ち上がり顎に手を添える
必然的に彼女の目線は変わり、俺は上から見下ろされる形となる
「持つものが持たざる者に慈悲の心をもってこれを与える。人はそれをボランティアと呼ぶわ、今私がこうしてあなたと話しているように」
早乙女はにっこり俺に微笑みかけた
普通の一般男子なら恋に落ちているところだが俺は違う!
あの一見かわいい笑顔の裏には俺を小馬鹿にした禍々しいドロドロとしたものがあるに違いない
理由は俺
小学五年のころ俺にすごく微笑んできてくれる子がいた
それを理由に「これって俺のこと好きなんじゃね?!」と思いメールをしてみたのだ
次の日俺が学校に来るとメールを送ったことはクラス全員に知られていて裏であることないこと言われついたあだ名が「キモガヤ」だった
別にただ普通のメールだったのだ
それなのに憶測で話をした馬鹿が勝手に広めたのだろう
今でも思い出すだけで、布団を被って「うわああぁぁー」ってしたくなる
俺がバッドトリップしていると早乙女は話を続けた
「困っている人に手を差し伸べる、それがこの部活の活動よ」
まるで高らかに宣言するように俺を見る早乙女
「ようこそ相談補助部へ、歓迎するわ」
まったくもって歓迎されてるように聞こえないことを面と向かって言われて俺は泣きそうになる
こうして俺の相談補助部としての日々が始まってしまった
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ