暁 〜小説投稿サイト〜
劇場版・少年少女の戦極時代
天下分け目の戦国MOVIE大合戦
ヒデヨシの天下獲り
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できない気候ではないため黙認した。

『やっぱりね〜』
『チャチャは世話焼きだかんな』
「ばかにしてるでしょ!?」
『してないしてない。なあ相棒』
『かわいいよ、咲ちゃん』
「ぐ…っ」

 面と向かって「かわいい」などと言われては、咲にも言い返せない。

 とりあえず反論を諦め、咲は丘から見える景色を見渡した。
 ぽつ、ぽつ、と小さな光がいくつも地上に燈っている。

「あそこって」
『ヒデヨシの領地だよ。小さいでしょ?』
「よくわかんない……」
『ヒデヨシの出身地でもあるんだぜ、あの村』
「そうなの!?」
『ああ。ヒデヨシは元々貧しい百姓の出なんだ。平民の苦労ってのを誰より知ってる。だから全ての民が安心して明日を迎えられる世を作りたい。あいつの(てん)()()りってのはそういうことなんだ』
「そうなんだ――」

 咲は暮れなずむ地平を改めて見下ろした。
 この地に広がる営みのひとつひとつ。それがヒデヨシの守りたいもの。彼の決意は何と尊いものか。

『ヒデヨシは戦で勝っても、相手側の領民から食糧を奪わない。内部では反対の声も多いけど』
「いいことしてるのに、ダメって言う人、いるのね」
『ボクらは気に入ってるよ。彼のそういうとこ。だからこそ武神として仕えてるんだしね』

 ふと気になり、咲は武神Wを見上げた。

「ねえ、武神ってどうして武将に仕えるの? どこで生まれて、どこから来たの? ずっとライダーのカッコのまんまなの?」

 もし彼らが本当に二人ならば顔を見合わせたであろう間を置いてから、武神Wは咲を見下ろした。

『それは俺たちにも分からない。気づいたら俺たちは武神で、Wだった』
『ずっとこの格好も何も、ボクらはこれがデフォルトだ。バッタが緑色をしているのと同じような原理さ』

 それは憐れむべきことなのか、感嘆すべきことなのか。分からないのは咲が幼いからなのか。
 ぶつけた疑問をさらに深めるだけに終わった。
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