第四十七話 闇の攻防
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無いかと。改革の意図をきちんと理解してくれているようです」
フェルナー大佐の報告に公が満足そうに頷いた。
「フレーゲル内務尚書に感謝しないと。良くやってくれている」
「そうですね」
「……」
妙な事を言う、どういう事だ。公とフェルナー大佐が俺を見て意味有りげに笑った。何だ、何が有る?
「シェーンコップ大佐、店で話している二人組の男が居ただろう。中年の男と若い男だ」
「ああ、……まさかとは思うが」
「そのまさかだ。あの二人は帝国内務省、悪名高き社会秩序維持局の職員だ。帝国中の彼方此方で内務省の職員が同じような事をしている。あそこは大所帯なのでね、人手に困ることは無い」
社会秩序維持局! 俺が絶句していると公が楽しそうに笑い出した。
「世論の操作、誘導ですか」
公が首を横に振った。
「そう見えるかもしれませんが私としては改革の内容を知らせるのが目的です。彼らに改革の内容を誤って理解して欲しくないのですよ」
「……」
「改革の意図を捻じ曲げて平民達に伝えられては困るのです」
意図を捻じ曲げて? 世論の操作、誘導をしているのは公ではないのか。
「そういう事をする人間達が居るのですな、それを防ごうとしていると」
「そうです、居てもおかしくは無いでしょう」
改革に反対する者だな、という事は……。フェルナー大佐が面白そうに俺を見ている。また試されている。
「門閥貴族達、ですか」
「それも有りますね」
それも有る? 他にも有るという事か、一体誰だ?
「分かりませんか?」
「……」
「門閥貴族と密接に繋がっているもの。彼らから大きな利益を得ているもの」
密接に繋がっている、大きな利益……、利益! そうか、そういう事か。
「フェザーンですな」
公とフェルナー大佐が満足そうな表情をしている。どうやら合格か、帝国に来てから試されてばかりだな。
「より正確にはフェザーンの自治領主府、大企業ですね。自治領主府は帝国が強大になる事を望んでいません。そして大企業にとって門閥貴族は大事な顧客です。彼らが弱体化すれば利益が減ります、場合によっては死活問題になる」
「……」
当然だが連中にとっては目の前の青年は目の上のたんこぶだろう。
「比較的好意的なのは独立商人を中心とした零細企業です。彼らは改革によって商機が増えるのを期待しています」
「なるほど」
俺が答えるとブラウンシュバイク公が笑みを浮かべた。
「ようこそ、シェーンコップ大佐、これが帝国です。政府、貴族、軍人、平民、フェザーンが入り混じって争っている。この他にも外には自由惑星同盟という敵が居ます」
「……」
同盟にとっても目の前の青年は目障りな筈だ。何とも敵の多い御仁だ。皆が彼を殺したがっている。
「そしてブラウンシュバイク
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