暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第四十七話 闇の攻防
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
!”
若いのがビールをぐっと飲むとドンと音を立ててジョッキをテーブルに置いた。彼方此方から賛同する声が上がった。

“落ち着けよ、領民達は喜んでるだろうぜ。貴族の借金返済のために働かされる事はもうねえんだ。連中のふざけた裁判で泣く事もねえ。こいつは天と地の違いだぜ、そうだろうが”
“うん、まあそうかな”
若い男が不承不承に頷いた。周囲も同様だ、頷いている人間が居る。

「結構関心を持っているな」
「当然だ。ブラウンシュバイク公は平民出身だ。彼らにとっては公ならば自分達の暮らしを良くしてくれるという思いが有る」
「不満が有るようだが」
「一つ間違えると帝国の経済が滅茶苦茶になる。それらを避けながら改革をしているんだ、簡単には行かないさ」
苦しそうな表情だった。改革の内容は俺も聞いてはいる、確かに簡単にはいかない、苦労しているようだ。

“それより領地の開発に収益の三十パーセントが使われる事になったんだ。そっちの方が大きいぜ。これまでは領地の開発なんてしてこなかったんだからな”
“どうせなら五十パーセントにして欲しかったよ。三十パーセントだなんて中途半端だ”
若い男がぼやくと彼方此方から賛同する声が聞こえた。

“五十パーセントと言って貴族達が受け入れるか? 受け入れなかったらゼロだぞ。ゼロよりは三十パーセントの方がマシだろうが”
“まあ、そうだけど”
“少しずつでも良くなってるんだ、あんまり文句を言うんじゃねえ。公爵閣下だって苦労してるんだからな”
“分かってるよ、そんな事は”
拗ねた様な口調だ。甘えているのだろう、中年の男は職場の先輩か、余程に信頼しているのかもしれない。

「職場の上司と部下かな」
「……ま、そんなところかな」
「もう一杯行くか、アントン」
「そうだな、それとマウルタッシェンを頼もう。こいつも美味いんだ」
「楽しみだ」

“改革も大事だが捕虜交換も上手く行って欲しいぜ。知り合いに捕虜になった奴が居るんだ”
“俺、リヒテンラーデ侯の声って初めて聞いたよ。台詞は棒読みだったな、もうちょっと心を込めてくれると信頼出来るんだけど”
若い奴の言葉に中年の男が笑い出した。

“失礼な事を言うんじゃねえ、ああやって広域通信で宣言したんだ。やるって事じゃねえか。まあ反乱軍がどう対応するかもあるがな”
“まあそうだけど”
“政府も俺達に関心を持ってくれたって事だ、良い事じゃねえか”
“もっと早く持って欲しかったよ”
また中年の男が笑った。



ビールを飲み、出された料理を全て平らげてからブラウンシュバイク公爵邸に戻るとフェルナー大佐は直ぐに公の私室に向かった。今日の結果報告だ、私室では公が軍服を着たまま待っていた。
「二人とも御苦労様、それで」
「まあ、今のところは問題は
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ