第三章
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第三章
「それでどうかしら」
「御願いします」
わかりました、ではなかった。出て来たのはこの言葉だった。
「是非」
「そういうことでね。待ち合わせ場所はね」
そのことについても話す美奈だった。こうして二人はデートすることになった。待ち合わせ場所も時間も彼女が決めた。そうしてであった。
雄大はその日曜に待ち合わせ場所に来た。そこは駅前の本屋の中である。そこに来たのである。
その本屋は中々繁盛していた。客が多く本も多い。棚に満ちている本も目に入るが今の彼はそれよりも彼女を探していた。店の中を見回していた。
「ええと、先輩は」
「今終わるからね」
ここで美奈の声が聞こえてきた。そちらに振り向くとだ。
美奈がいた。しかしその服はだ。いつもの制服ではなかった。
エプロンをしていた。赤いエプロンをしていた。そのエプロン姿でも胸が目立つ。その姿で雄大に対して言ってきたのである。
「実はこのお店でアルバイトはじめたのよ」
「そうだったんですか」
「そうよ。今タイムカード押してお店出るから」
「わかりました。ただ」
「ただ?」
「似合いますね」
そのエプロン姿に対する言葉である。
「本当に」
「お世辞はいいわよ」
「いえ、お世辞じゃないです」
雄大は本気だった。
「お世辞じゃないですから」
「そう言ってくれるのね」
美奈はここでも微笑んだ。
「有り難う」
「本気なんだけれどな」
今の雄大の言葉は美奈には聞こえなかった。
「まあいいか」
「それじゃあ行きましょう」
そんな雄大をよそにだ。美奈は彼に告げた。
「デートにね」
「はい」
美奈はすぐに店の中に入って雄大の前に帰ってきた。エプロンを脱ぐと今度は赤い上着に白いコート、それと黒いスカートだった。スカートはひらひらとした丈の短いもので生脚だった。
その姿を見てだ。雄大は思わず溜息をついてしまった。
「うわっ・・・・・・」
「うわって?」
「凄く似合ってますね」
その彼女の今の服を見ての言葉だ。
「最高ですよ」
「だからお世辞はいいわよ」
「お世辞じゃないですから」
このことをまた断る彼だった。
「お世辞なんか言いませんから」
「そうなの?」
「そうですよ。本当に似合ってます」
その顔も声もうっとりとさえしていた。
「先輩って奇麗ですよね、いつも思ってますけれど」
「褒め過ぎよ。恥ずかしいわ」
実際に頬を赤らめさせる美奈だった。
「そこまで言われたら」
「すいません、けれど」
「とにかく行きましょう」
彼にデートをはじめるようにまた言ってきた。
「いいわね、それじゃあ」
「はい、わかりました」
こうしてだった。二人でデートに向かう。美奈がリードしてまずは街の商店街
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