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バカとテストと白銀(ぎん)の姫君
第十八話 ~彼女の選択 U ~
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らも、久保が振りおろしている最中、全くノーガードな真横のスペースに転がり込む。
そして、先ほど地面に置いていた大剣を再び掴み、起きあがりながら力任せに振りあげる。
「しまっ……」
更新された数字をみて、観客たちのざわざわと話し合っていたり、彼らに応援したりする騒音がよりいっそう騒がしくなる。
『数学 Aクラス 久保利光  32点  姫路瑞希  185点』
「勝負は、決まりましたね。」
にこりと私に微笑みかけてくれる彼女に、私は少しだけ違和感(ズレ)を覚えるけれどもそんなの、私の目が狂っているからに違いない。
その後の試合はFクラス優勢が揺らぐことなく、いや一度だけ優子さんが島田さんに痛撃を食らわせて94点VS49点というデッドヒートをかましていたけれども、久保君との戦いに勝利した姫路さん(141点)の参戦によって優子さんがとどめを刺された。
こうして第三試合はFクラス勝利で幕を閉じたのだった。

「第四試合の代表生徒は準備をしなさい。」
(わたくし)も、次の試合に出なければなりませんので、これで失礼いたしますね。」
「千早さん!」
その後ろ姿に、無性に不安になって
何でしょうかと言葉には出さず、目で問いかえしてくれる。
「えっと…ね、頑張って。応援してるから。」
驚いたような表情になる彼女は、しかし直ぐにさっきまでの違和感ある笑いじゃなくて、ごく自然な微笑みを私に返してくれた。
ただ単に感じ方の問題なのかもしれないけれども、私は思わずどきりとしてしまう。
「えぇ、勝って参ります。必ず。」
そして、彼女は代表者の準備ラインへと堂々とした足取りで進み出たのだった。
ただひたすらに優雅で、彼女がこの空間のムードを支配しきっている。
「吉井を代表に出してくるなんて、舐めているのかあいつらは!!」
そう切れ気味だったAクラスのある男子生徒も彼女がフィールド内に現れると途端に気まずげにして何も言わなくなった。

それらの光景が目の前を通り過ぎ、急にはたと我に返る。
このままじゃ、軍令部に何を言われるか分かったものじゃない。
彼女から自分に掛けられた力強い言葉に思わず惚けていた私は、慌てて三脚を組み立て、クラスから借りてきたビデオカメラを設置する。
レンズには妃宮さんとタッグを組むという吉井が映り込んでいた。
私的な感情から言わせてもらえばカットしたいし、恐らく軍令部から何ら文句は言われないだろう。
(むしろ褒められる気がするのは気のせいだと全力で信じたい)
それでも胸の奥のもやもやとした耐え難き想いを耐えてまでも撮影するのは、吉井のチョイスも千早さんの作戦の一環だろうと思うからだ。
旧帝国大学クラスの問題(一橋も勿論入るんじゃないかな)を、しかもひたすら記述問題で答えるという鬼畜なテストをAクラスにも迫っ
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