神風と流星
Chapter1:始まりの風
Data.7 招かれざる道化
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時代はそうだった。
だが、何だこの違和感は。何かが足りないというか、どこかがおかしいというか。
俺のその疑問は、次の瞬間に発せられたシズクの発言によって解消された。
「何だか予想してたり話に聞いてたより弱かったね。本当にこれが単体でフィールドボスの2倍の強さを持ってるの?」
「そうか……それだ。俺が感じてた違和感は」
シズクの予想より弱かったのは仕方が無いにしても、俺が伝えた情報より弱いってのはどういうことだ?
俺はβ時代、何度もこのクエストを体験した。ドラゴンたちの強さは完全に把握している。
だが今回はその情報よりドラゴンたちは弱かった。では、その理由は何だ?
茅場が正式サービスで下方修正した?だったらさらにその理由は?
あの正式サービス開始日の茅場の発言や現在までの死亡者数を鑑みるに、奴はプレイヤーのために安易にクエストの難易度を下げたりしない。ということはもしかして、まだこのクエストは――――
ピコーン
俺の思いついた最悪のシナリオを裏付けるかのように、聞きなれたSEが俺にクエスト手順の進行を伝えてくる。
恐る恐るそれを見てみると、そこにはこう表示されたいた。
『《赤黒の道化龍(ドラゴン・ジョーカー)を撃退せよ!』
ボスモンスターの追加。これが、茅場が四体のドラゴンの強さを下げた理由――――
「ねえルリくん……?気のせいかな、もう一匹向こうの空から来てるんだけど」
シズクの引き攣った声に導かれて空を眺めると、ソイツはいた。
先ほど倒したドラゴンたちより遥かに大きい体躯。赤と黒の入り混じった皮膚。削岩機のような爪と牙に、大木みたいな尻尾、巨大な翼。HPバーはまさかの三本。つまりあいつは、フロアボス級の強さを誇るって訳だ。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
大音量の咆哮に思わず耳を塞ぎながら、俺は思った。
『さて、どうやって逃げようか』と。
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