聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第一幕
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」
乗った。隆也が頷くと、少年は「決まりだね」と笑った。
瞬間、視界が動く。
気が付いたときには、既にそこは我が家ではなく――――ファンタジーチックな大自然の中だった。どこかアインクラッドっぽくもない。
「な……なんじゃこりゃぁぁぁぁ!?」
その服は、いつの間にか《ゼツ》のモノに変わっていた。
***
「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いぃ、むぅ、なぁ、やぁ、ここのたり……」
なんてこったい。
歌原理央は、自らのサイフの中を開いて愕然とした。
本日12月24日は言わずと知れたクリスマス・イヴである。一年で最もリア充がたぎり、非リア充が叫ぶ日でもある。
理央はリア充組なので、本日は彼女である朝田詩乃に何かプレゼントを買おうと決めて、数日前から色々模索していた。
結果として、かつてSAO時代、彼女とゲーム内での婚約の証として分け合った、お揃いのネックレス…ペアリングが通されているもの…に似たものを購入し、彼女に渡そうと決心。
したのだが。
「まさか……まさか財布の中に千円しか残っていないとは……」
ちょっと想像していなかった。
そう言えば先日、色々と高い買い物をしたことで使い切っていたことを忘れていた。今から銀行に引き落としにいこうか、と考えたのだが、世にも最悪なことに今日は近所の銀行、なんかよく分からない社内イベントのために休業である。
銀行が休業とか何考えてんだ、というかご都合主義すぎるだろ……というつぶやきはさておき。
「しかし……まいったなぁ」
千円でもなにかプレゼントは買えるだろう。だが、理央は詩乃に、先日「クリスマスプレゼントは奮発するからなっ!」と宣言してしまったのだ。あの時の「ありがとう、楽しみにしてる」という詩乃の笑顔を無為にするわけにはいかない。
「だが……どうする、おれ!」
金の問題は解決しがたい。そうだ、この際どこぞの黒の剣士にでも頼んで貸してもらうか、いやいや、あいつこそ金欠の気がしてきた。というか借りたらめっちゃ利息取られそう――――
その時だった。
理央は、何者かの気配に気が付いて、勢いよく振り返った。
「誰だ!!」
泥棒――――?金目のものはない!所持金も千円だ!
だが、その人物は、金をよこせ、などとは言わなかった。
「やぁ、リオン君。困ってるっぽいね?」
「っ! あんた、その名前を知ってるのか……?」
リオン、と言うのは、理央の仮想世界における名前だ。スペルは《Rion》にするつもりが、名前被りのせいで《Lion》。おかげで一部の人々にはライ坊だのライ君だの、ライオンだの《流星の獅子》だの
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