第二章
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てきたで」
「うわっ」
その言葉を聞いて思わず心の中で唸った。
「女子高生の言葉かよ、今の」
そう思ったが当然口に出すわけにはいかなかった。若しそれを出したら気色悪いだの感じ悪う、だのそうした言葉でやられるに決まっているのだ。三ヶ月だが大阪女子高生の口のえげつなさはもうわかっていた。クラスの女の子の喋りにカルチャーショックを味あわされたからだ。
「それで二人で食べたんや」
「六百円やったな」
それを高いか安いかどうか感じるのは実物を見ないとわからない。だが高校生なら行けない値段ではないと感じた。
「そや。それで食べたんやけれど」
「美味しかったん?」
「まあまあやな」
彼女は答えた。大阪では普通の評価である。これがまずいとなればその話に尾ひれがついて駄目になる。大阪はそうした意味では怖い街だ。
「味の方は」
「そうなん」
「うち元々お汁粉の方が好きやし」
「ふうん」
「善哉か」
正友はそれを聞いてふと思った。そういえば長い間食べてはいない。話を聞いて無性に食べたくなるのが人情である。
「まあ好きやったらええと思うで」
「そうなん。じゃあうちも今度言ってみるわ」
「あんた彼氏おるん?」
「アホ言いなや、ちゃんと一人おるで」
それを一人と言うのかどうか。しかもここで普通にアホとかいう言葉が出るのも大阪独特であった。
「ほな合格や。今度行ってきたらええわ」
「じゃあ行って来るわ。楽しみにしとくわ」
「そうし」
「一体どんな店なんだ?」
正友は彼女達のそんな話を聞いて思った。それで翌日学校でそれをクラスメイトの一人に尋ねた。
「あんた知らんの?」
茶髪を後ろで二つにくくった女の子にまずこう言われた顔は普通だがメイクが横浜の女の子に比べて結構派手だ。リップがスカーレッドでマニキュアまで同じ色である。だがそれも普通なのが大阪であった。その娘に夫婦善哉のことを話したらいきなりこう言われたのだ。
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