第二十八話 横須賀の思い出その二
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「何度も何度も読んで書いて問題を解いていくのよ」
「そうすればいいんですか」
「そう、何度もね」
「つまりそれって」
伸子は朱美の言葉を聞いてこう解釈して言った。
「覚えるってことですか」
「そう、覚えるのよ」
まさにその通りと答えた朱美だった。
「それが第一なのよ」
「勉強って覚えることですか」
「ええ、簡単に言えば記憶なのよ」
「覚えることなんですね」
「数学は応用も入るけれどね」
公式を覚えてそこから解いていくものだ、文章問題は国語力も問われるがやはり記憶の分野であることは間違いない。
「それでもね」
「覚えることなんですね、まずは」
「教科書を読んで」
「参考書もですね」
「参考書や問題集は多くなくてもいいから」
「あっ、少なくてもですか」
「いいのよ」
そうだというのだ。
「極論すれば参考書と問題集はいいのを一つずつね」
「それがあればですか」
「いいのよ」
「何種類もいらないんですね」
「一教科に一つずつね」
それだけでいいというのである。
「あればいいから」
「そうですか」
「その問題集とかを解いていけばいいのよ」
「何度もですね」
「そう、そうすればいいのよ」
「ううん、そうしていけば成績も」
「あがるわ、あとね」
さらに言う朱美だった。
「このことは私の先輩に言われたことだけれど」
「先輩ですか」
「寮のね、二つ上の先輩で物凄く頭のいい先輩がおられて」
「その先輩が仰ったことですか」
「その人今うちの大学の医学部におられるけれど」
八条大学医学部だ、この大学の医学部はかなりレベルが高いことで知られている。それも世界的にである。
「その人が入試の時のことを教えてくれたけれど」
「その時の勉強の仕方ですか」
「赤本あるわよね」
所謂入試問題集だ、それぞれの大学の過去五年の入試問題がそのまま出ている。受験生が必ず手にするものの一つであろう。
「あれを買ってね」
「何回も解くんですね」
「それも出来ればね」
「出来れば、ですか」
「赤本は過去五年分だけれど」
このことがミソだとだ、そうした口調での言葉だった。
「その前の年の赤本にはその時からの五年分があるでしょ」
「つまり六年前のですね」
「それと、その前の。出来れば八年分位をね」
「買って、ですね」
「そう、そのうえでなのよ」
「解いていくのね」
「そう、そうしていくといいっていうわ」
入試の時はというのだ。
「やっぱり何度も解いてだけれど」
「本当に何回もなんですね」
「こうすれば公務員試験とかでも大丈夫だと思うわ」
「合格出来ますか」
「過去問題集はかなり役立つじゃない」
朱美はこのことについては太鼓判を押した。
「高校入試でもそうだったで
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