第一章
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ているのでこの名前がついた。だがここで引っ掛かる女はいない。
「美味い寿司屋があるんや」
「寿司屋っておい」
「大丈夫や。回転寿司やからな」
そう断りを入れる。
「千五百円もあればええわ」
「それで腹一杯食えるのか」
「それで食い放題だ」
「寿司をねえ」
そんな値段で食べられるということ自体が何か驚きであった。
「どや、ホンマやったら三千は出さなあかんやろ?関東やったらもっとするか」
「いや、そんなところだな」
とりあえず記憶を辿って述べる。
「関東って案外そうした食い放題ってないんだよな」
「いけずなとこやからな」
誰かが言った。
「そういうのあらへんやろ」
「いけずって何だったっけ」
「ケチって意味や」
「ああ、そうか」
それを言われてやっと頷く。
「そういう意味かよ」
「そや。けれどホンマにないんか?」
「あってもそんなに安くないぞ」
彼は答えた。関東、とりわけ東京は物価が高い。そうした意味では暮らしにくい街である。大阪は食べ物が安くて美味いので定評がある。ここが大きな違いである。
「何だよ、その安さ」
「それが大阪や」
「京都はアホ程高いけどな。大阪やからな」
同じ関西でもここが大きく違う。なお京都と大阪は仲が悪い。互いにライバル意識を持っているのである。
「安いっていうのかよ」
「そや」
「わかったら行こうか」
「ああ。それにしてもよ」
彼はまた仲間達に対して言った。
「何か食ってばかりだよな」
「それが一番やろが」
「そや、まずは食い物や」
誰もがそれに応えて言う。大阪ではまずは腹なのだ。服は京都、靴は神戸である。
「大阪やぞ、ここは」
「食わへんでどないすんねん」
「何か本当に横浜と違うな」
あらためてそれを認識した。
「それも独特のものばかり」
「まあええやろ」
「美味いやろが」
「そうだけれどな。じゃあ行くか」
何はともあれ仲間達の言葉に頷いた。そしてその寿司屋に向かうのであった。
寿司はかなり堪能した。それで仲間達と別れて地下鉄で帰路につく。もう夕食が食べられない程食べていた。
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