第六幕その四
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「その森は何処かな」
「あっちに少し行ってね」
「おや、その方角は」
教授は象が鼻で指し示した方を見て言いました。
「丁渡私達が行く方だよ」
「じゃあ余計に都合がいいね」
「貴方達にとってそうみたいだね」
「そうだね、ではね」
「そちらに向かうついでにだね」
「森に寄らせてもらうよ」
「そっちに行ってね」
さらにお話する象でした。
「右手にあるから」
「森の特徴はあるかな」
「近くに行けば凄く美味そうな匂いがするからすぐにわかるよ」
「林檎や梨のだね」
「そう、それですぐにわかるからね」
林檎や梨の香りでだというのです。
「そこに行けばいいよ」
「それではそうさせてもらうよ」
「さて、僕はね」
象は教授に説明を終えてから大きく欠伸をして言いました。とても大きなお口です。
「たっぷりと寝てね」
「それからどうするんだい?」
「森に戻ってね」
「そうしてだね」
「そこでまた美味しいものを食べて寝るよ」
そうするというのです。
「そうするよ」
「左様ですか」
「そうだよ、それじゃあね」
「また機会があれば会おうね」
「それではね」
こうお話をしてでした、そうして。
皆でなのでした、象とお別れの挨拶をしてまずはその森に向かいました。その途中でカルロスはしみじみとして言いました。
「ちょっとものぐさでしたけれどいい象さんでしたね」
「そうよね」
恵梨香がカルロスに応えます。
「道の上で寝ていたのは非常識かもって思ったけれど」
「それでもね」
「いい象さんだったね」
「親切に教えてくれたから」
「森にも行けて」
そして、というのです。
「林檎や梨も食べられるね」
「そうなるわね」
「林檎はね」
ここでこうも言ったカルロスでした。
「僕の大好物の一つだからね」
「カルロスって果物だと何でも好きよね」
「うん、そしてその中でもね」
「林檎はね」
とりわけというのです。
「好きなものの一つだよ」
「他に好きな果物は?」
「バナナだね」
これも大好きなのです、カルロスは。
「あれも好きだよ」
「バナナね」
「オズの国のバナナって黄色だけとは限らないけれど」
ウィンキーでは黄色です、ですが他の国では違います。
「それでもね」
「オズの国のバナナも好きなのね」
「大好きだよ、バナナもいいよね」
「私もバナナは好きよ。けれどね」
「けれど?」
「多分カルロス程好きじゃないわ」
バナナもというのです。
「他の果物についてもね」
「それだけ僕が果物好きだってことかな」
「ええ」
その通りだというのです。
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