9部分:第九章
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第九章
「あの方ならばきっと」
「そうですね。あの方なら」
「僕達に答えを指し示してくれる」
こう考えるロミオだった。
「そしてだ。また会おう」
「はい、そして再び」
「僕はもう貴女と離れたくはない」
「私もです。こうして再び会えたからには」
また二人で言い合いであった。
「この想い、適えられないのなら」
「もういっそのこと」
こう話してであった。二人は誓い合う。だがここでだった。
「ロミオ様」
「ジュリエット様」
それぞれ二人を呼ぶ声がしてきた。
「何処ですか?」
「何処におられますか?」
「いけない、ここにいては」
「はい、これ以上は」
二人はその声にはっとして我に返った。
「残念だがここは」
「お別れするしかないのですね」
「また会おう」
「はい」
二人は名残惜しい顔で相手を見て話す。
「今はこれで」
「また」
こう話してであった。二人は別れた。そして次に会う場所は。夜の教会であった。ロミオが司教に話した結果だ。そこで会うことになったのだ。
ステンドガラスも礼拝堂も十字架の主もだ。今は夜の闇のカーテンに覆われよくは見えない。二人はその教会の中にいた。
そしてその前にはだ。司教がいた。
司教は二人に対してだ。まずはこう言うのであった。
「私も。貴方達の家の争いには」
「はい」
「どう思われていたのでしょうか」
「終わらせたいと思っていた」
こう二人に話すのだった。今三人は礼拝堂の前にいる。司教は主を背にしてそのうえで二人と向かい合って話をしているのだった。
「しかし。それは激しくなるばかりだ」
「ですが僕達はです」
「お互いが」
「わかっているよ。それでは」
「はい、それでは」
「私達は」
「指輪はあるだろうか」
司教はこう二人に尋ねてきた。
「それは」
「はい、ここに」
「あります」
こう言ってだ。二人はそれぞれあの指輪を出してきた。
「ではこの指輪を」
「それぞれ」
「相手に捧げてくれ。それを婚礼の証としよう」
「そして僕達は」
「終生なのですね」
「そう。貴方達は一緒になる」
そうだと。二人に告げた。
「そしてそれからは」
「はい、それからは」
「何処かに行こう」
こうジュリエットに言うのだった。
「これからは」
「このヴェローナを出るのですね」
「僕達はここでは幸せになれない」
だからだというのだ。
「だから。この街を出よう」
「そうすれば私達は幸せになれますね」
「なれる、僕は君を絶対に幸せにする」
ロミオはジュリエットの顔をしかと見てだ。そうしてまた話した。
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