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刻命館VS帝國華撃団 帝都妖異譚
紅蘭の決意

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「その当時、宮廷の中は迷路みたいになっとって、色々な
罠がしかけてあって、それで暗殺者とかを防ぐつもりやったんや、
んで、秘密とかを守るために設計者とかは皆殺されてしまったんや。」
「酷い・・・」
「けど、そのうちそういった職人達も、殺されてはかなわんということで
色々考えたんや、自分たちの命が残してもらえるにはどうすればええか、
そこで考え出したんが、自分たち自身を鍵にする方法やったんや、
罠、例えば今みたいなのとか、落とし穴でもええ、
その落とし穴をそこに仕掛けておくんやなく、どこか別の所に置いとく、
んで賊なり暗殺者なりが来たら、その暗殺者のおるその床に
その落とし穴を霊力で持ってくるんや。これは、その仕掛けを作った人間やないと
移転させることが絶対にでけへんのや」
「なるほど・・・」さくらと椿は異口同音につぶやく、「それで、あの女は
その力を持っているわけね・・・」椿が質問する、「で、紅蘭、
何か対策とかはあるの?」「ウチ自身も帝国劇場が軍の攻撃を受けた後、そういうこと
考えてみたんやけど、この帝劇自体がそういうことを仕掛けるのに向いていなかったんや、
二三ヶ所くらいしかけてはみたけどな・・・」二人の顔が青ざめる、
「そ、そう、あまり無理しないでね」「けど、華撃団はむしろそういう
所に攻め込むことが多い、だから、仕掛けてある罠への対策は
してあるで、これが霊力つこうて罠をかけてきた相手に、そっちに
送り返す「逆転くん」や当然というか、ウチにしか使えへん。」

 紅蘭は椿にさくらの介抱を任せると、館へと入っていった。
戦闘能力が高いはずのマリアが、いとも簡単に虜にされてしまい、おぞましい魔物の苗床とされている・・・・・
三人が打ち出した方針は最低限マリアを救出し、
態勢を整えた上で人質の救出を検討するというものだった。
華撃団の霊力を魔物に利用されるすなわち、花組のメンバーの
霊力を吸収した魔物が産まれるという事態は、絶対にあってはならない
その事を三人は改めて確認したのである。
 (人質救出は状況次第、大急ぎで救援の通信・・・
なんだか本物の特殊部隊みたいね・・・・)椿はさくらの手当てがひと段落
したところで帝劇本部に通信を入れた。

 紅蘭は館に足を踏み入れる、小奇麗だがどこか陰気な雰囲気というのが
第一印象であったが、この際どうでもいいことである、
エントランスから長い廊下に出る、どこからともなく
女性のあえぎ声が聞こえてくる。「・・・・マリアはんや・・・」
敵に操られているマリアを救出しなければならない、
固い決意のもと、紅蘭は扉を開き発煙弾を装填してある小型グレネードランチャー
を手に身構えた。
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