外伝:それが自分だから
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聞いた話では、プーカ領内では演奏無制限、他種族領内では戦闘以外の演奏は周囲の許可を取ってから……そしてアインクラッド内では何故か俺の許可なしに路上演奏するのが禁止になってるとか。
何度違うと言っても「あの、演奏許可貰えます?」と聞きに来るプレイヤーが絶えないのは頭痛の種だ。何度も言うが、俺はそんなんじゃないってば。
= =
「本当によかったの?」
「何が?」
「ギター休止して訓練してもよかったんじゃないの、ってこと」
皆が解散した後で、不意にアスナちゃんが訊ねた。
彼女とは何だかんだで1層からの付き合いだ。楽器を貰ったことも一度や二度ではないし、攻略の鬼などと揶揄されるようになった後もアルゴを通して物を送っていた。
皆には黙っていたけど、あの時代の数少ないフレンドの一人だ。
なお、その他のフレンドはエギル、アルゴ、ミスチルとイナズマ、その他余りにもしつこかった固定客数名くらいのものだったりする。
「別にみんなが待ってるからって、必ずギターを続けなきゃいけない訳じゃないじゃない?人のいう事ばかり聞いて自分のやりたいことを見失ってないかなって、気になったの」
「やりたいことか……ま、確かにあのモンスター相手に綺麗に立ち回れるのはちょっと憧れる」
「なら――」
「でも、さ」
アスナの言葉を遮って、俺はギターを抱えた。
軽く弦を弾いて感触を確かめる。
この手触り、振動、音色。やはりこれだ、という安心感があった。
「さっき考えてて思ったんだけどさ。音楽だって好きなものだ。その好きな物をいったん置いてまでして必死に練習しても、結局俺はみんなみたいに戦える域には達しないんだよな。しかもそれを追いかけている間、俺は好きなことをできない。これって破綻してると思う」
「二兎を追うものは一兎をも得ず?」
「ん〜……ともかく、必死にもがいて手に入れても、その力は最初に俺が欲しかったものとは違うんだ。そしたら残るのは大した価値も無い努力と、好きなことが出来なかった嫌な思い出だけになる。そんなの俺じゃない!……って、思ったのさ」
「そのとーり!我慢なんてせずに好きなことできなきゃ人生何にも楽しくないもんね!」
割り込むように、突然ユウキがにかっと笑って飛び出してきた。
その手には俺のものとは種類が違うギターが抱えられていた。
未だ未熟なところはあるが、それでも音程を間違えない程度には演奏できるようになった。そのギターを掲げたユウキは俺とアスナの間に入ってきた。
「今日は特別に僕の演奏と歌声も披露しちゃうよ!」
「……それが今のユウキがやりたいことって訳だね?」
「その通り!アスナはやりたいことやってないの?」
「まさか。キリト君やみんなと一緒にここで笑いあうのが、私の一番やりたい
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