外伝:それが自分だから
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と、モンスターが全くいない事で有名な層だ。当時は休憩スポットとして人気だった。
ついでに層の端の方にキリトとアスナちゃんの愛の巣があったりもしたがそれはさて置き……そこで俺は、SAOでは碌に出来なかった戦闘指導を受けていた。
教えてくれるのは勿論SAO生還者の連中だ。
SAOでは主に戦う相手はモンスターなのだから、モンスターを相手にしなければ戦いには慣れない。
が、俺はフィールドに出ると面白いくらいにモンスターに負けるので訓練そのものが出来ない。何せ今はともかく当時のSAOはHPと自分の命が直結していたのだから。
攻略組の連中だっていつも暇ではないし、俺自身移動と路上ライブの時間を考えれば訓練の時間も殆ど無かった。
よって、実は本格的なバトル指南はこれが初めてである。
「どうでしょーか先生方。うちのバンドリーダーは戦士として使い物になりますかね?」
「うーん……」
勝手にバンドメンバーに参加しているユウキの問いに、片手剣兼剣道担当のリーファちゃんが唸る。
弓担当のシノンちゃんも唸る。ハンマー担当のリズベットちゃんも唸る。
その他、槍や長剣、斧担当の連中も唸った。
「まずハンマーは駄目ね。何回やり直させてもギターの持ち方に変わっちゃうし」
「弓も駄目。なんか指先がギターの弦の感触だけ覚えちゃってるみたいで……弓の弦に遠慮するわ暇さえあれば弦を弾いて音を鳴らすわ……」
「斧もさっぱりだな。重量の所為か身体が委縮してるし、ハンマーと同じでギター構えしようとする」
「槍に至っては使い方が棍棒だし……」
「投擲はセンスがないとダメなんだな。そしてブルハはセンスがないんだな」
「ブルハに短剣は向いてないネ。そもそも短剣は元々難易度高めだシ」
これでもかというほどにボロクソである。
勉強もスポーツもそこまで駄目だと言われたことはないのだが、俺はどうにも戦士どころか雑兵になるセンスさえ欠如しているらしい。ただ、全く見込みがないという訳では無いようで、片手剣、体術の2人からは違う意見が出た。
「結論から言うと、アレです。1対1の対人地上戦闘だけなら、練習に打ち込めばなんとか……」
と、片手剣のリーファ。そして体術担当であるロナルドは――
「身体そのものは動かせてるんで、サシのステゴロなら。時間はかかりますが、何とかなると思います」
ちなみにロナルドは最初の頃は第一層に籠っていた引きこもりプレイヤーだった。
ゲーム開始から数か月後に俺を追いかけてフィールドに出て、その後に体術スキルを組み込んだ剣技で大成した。ALO初ライブの際も聞きに来ていた常連である。
「なんか、ブルハさんって運動音痴とは違うんだよね。多彩な動きは出来ないけど……行動を防御と反撃のみに割り振ればいいセン行くと思うよ」
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