6部分:第六章
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第六章
「別にいいから」
「そうなのですか」
「とにかく。そうなんだね」
「はい、そうです」
ロレンツォはそのまま主の言葉を返してみせてその通りだと答えた。
「ですから他の家の娘を」
「わかったよ」
一応は頷いたロミオだった。
「それじゃあね」
「はい、そういうことで」
「しかし」
ここでまた難しい顔になるロミオだった。
「それは」
「それは?」
「いや、いいよ」
また己の言葉を打ち消すロミオだった。
「とにかくね」
「それでなのですが」
ロレンツォはロミオに対してさらに言ってみせた。
「これ以降カプレーティ家の者とはです」
「あの家の者とは?」
「会えばその時点で決闘を挑むことになりました」
「それは父上が決められたことか」
「はい」
その通りだと。はっきりと答えたロレンツォだった。
「その通りです」
「そうか。もうあの家とはこれからは」
「どちらが滅ぶかです」
ここでの言葉はあえて峻厳なものにさせた。
「そうなります」
「あの娘とも」
「女子供であろうともあの家の者ならば」
「容赦はしない」
「はい、このヴェローナに生き残るのはどちらか」
こんな話にまでなっていた。してみせたのである。
「まさにそうした戦いになります」
「そして僕もまた」
「お覚悟を」
こうロミオに告げてだ。ロレンツォはあえてその場を去りロミオを一人にさせた。一人になったロミオは項垂れて一人考えに耽った。
「諦めなければならないのか」
父の言葉はそのままモンテッキィ家の決まりだ。従わなくてはならない。
しかしだ。そう思えば思う程であった。
「僕は。あの娘を」
想いは募っていった。それはどうしようもないまでになっていた。
そしてだ。ジュリエットもだった。
「これからはモンテッキィ家の者は誰であろうとも」
「誰であろうともですか」
「会えばそこで剣を抜く」
ロベルドはこうジュリエットに話していた。場所は彼等の屋敷である。
「そうなった」
「お父様がそう仰ったのですね」
「そして誰もがその言葉に頷いた」
「ではやはり」
「そうだ。我等カプレーティが滅ぶかモンテッキィが滅ぶか」
言葉はまさに終局に達するものだった。
「そのどちらかだ」
「どちらかですか」
「そうだ、ジュリエットいいか」
「はい」
「生き残るのは我々だ」
ロベルドは切実な顔になってみせてジュリエットに告げる。
「わかったな」
「私達がなのですね」
「そういうことだ。モンテッキィ家の者はだ」
「誰であろうとも」
「会えば殺す」
またあえてである。物騒な言葉を使ってみせた。
「そうなった」
「左様ですか」
「言うことはこれだけだ」
ロベルドもまたその場を
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