サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!
闘争の仕掛け人
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
その「戦争」は、夜明けを合図に始まった。
沢芽の街を闊歩する、二つの大規模軍団。
凰蓮と城乃内が率いる傭兵部隊に加え、何十体ものスイカアームズの戦士。
貴虎が率いる、大量の地上のトルーパー部隊と、ダンデライナーに乗って滞空する量産型黒影。
――戦いは、両者を率いる三者が変身したことで、火蓋を切って落とした。
乱戦――否。もはや地上は、小規模の戦争をしているような有様だった。
生身の傭兵が量産型黒影に向けてマシンガンを連射し、量産型黒影は生身の傭兵に槍を揮う。
ナパーム砲でビルが爆発し、黒煙を上げる。
黒煙の数は何秒と数えない内に増えていった。
咲とラピスは、夜を明かしたビルの屋上から、地上で争う人々とアーマードライダーを見下ろしていた。
「どうして……命を奪い合わなくてもいい戦い方を、人間は持っているのに……どうしてこんな!」
ラピスは悲しげに、あるいは悔しげに、金網を叩いた。そして、ずるずるとその場に膝を突いて、項垂れた。
いつもなら何かしらスキンシップを図って相手を慰める咲も、ラピス相手にそれはできなかった。
ラピスの「顔」が、「彼」と同じ「顔」が、ラピスに触れることを咲に恐れさせた。
どのくらいの時間、ただ動かず見つめていただろうか。
やがて、ラピスがぽつりと口にした。
「サキ。ボクをあそこに連れて行って」
「……いいよ」
咲は戦極ドライバーに開錠したヒマワリの錠前をセットし、カッティングブレードを叩き落とした。
《 カモン ヒマワリアームズ Take off 》
月花へ変身し、ヒマワリフェザーを広げた。ん、と両腕をラピスに差し出すと、ラピスは月花に体を預けた。
月花はラピスを担いで飛び立った。
現場は小康状態に入っていたものの、酷い有様だった。あちこちのビルから煙が上がり、街路には足の踏み場もないほど転がる傭兵と量産型黒影。
月花はラピスと共に、被害がなかった天井付き階段に降りた。
ラピスは死屍累々とした光景を見下ろし、苦しげに顔を歪めた。咲はとっさにラピスの顔から目を逸らした。
(そんな顔されたら思い出しちゃう。あたしがいじめてたあの子のこと)
「ようやく見つけた」
咲ははっと顔を上げた。見上げれば、階段の最上段に光実が立っていた。
「光実くん」
「久しぶり、でいいのかな、ここは。それとも初めまして?」
「光実くん、あたしが分かるの?」
「そう言うってことは、咲ちゃんも、僕の知ってる咲ちゃんなんだね」
光実はブドウの錠前を構えたまま、階段を降りてくる。
「あそこで戦ってたのはキミの兄さんだろ? 見殺しにし
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ