3部分:第三章
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第三章
「あそこに行くと夜空が見えるから」
「夜空が」
「今夜は月が奇麗だし。そこから見るといいよ」
「わかったわ。それじゃあ」
従兄の言葉に従いだった。実際にそのバルコニーに来た。そこから見上げる月はだ。白く淡い光を放ちそれで夜空を照らしていたのだった。
「あっ・・・・・・」
ジュリエットは黒、いや濃い青の夜空の中に浮かび上がり全てを照らすその白い月を見上げて思わず声をあげてしまった。
「奇麗・・・・・・」
月並みな言葉だがこの言葉が出てしまった。そうしてそのまま夜空を見続けるのだった。
そしてロミオはだ。家臣達に言われていた。
「ロミオ様、いい場所があります」
「そこに行かれてはどうでしょうか」
「いい場所?」
ロミオは彼等の言葉にまずは怪訝な顔になった。
「それは何処なんだい?」
「はい、庭です」
「この屋敷の庭です」
家臣達はそこだと話す。
「そこに行かれてはどうでしょうか」
「今から」
「そんなにいい場所なのかい」
ロミオは怪訝な顔になってそのうえで彼等に問うた。
「そこは」
「はい、薔薇が咲き誇っています」
「赤薔薇も白薔薇もです」
「薔薇がか」
薔薇と聞いてだ。ロミオの目がぴくりと動いた。
「いいな、それは」
「はい、夜の中の薔薇もいいです」
「ですからどうでしょうか」
「よし、わかった」
ロミオは彼等のその言葉に頷いた。
「今から行こう」
「それでは我々はこれで」
ここでロレンツォが言ってきた。
「お一人でどうぞ」
「僕一人でかい」
「はい、その方が薔薇を静かに楽しめますので」
「それでなのか」
「はい、それでです」
ロレンツォは彼ににこやかに笑って述べた。
「お一人でどうぞ」
「わかったよ」
ロミオも彼のその言葉に頷いた。
「それじゃあ行って来るよ」
「我々はここにいますので」
「楽しんでらして下さい」
こうしてロミオはその庭に一人で向かった。夜の世界の中の薔薇は赤と白の無数の光を放っていた。彼はその薔薇達を見て満足していた。
「勧めるだけはあるな」
家臣達のことを思い出しながらの言葉だ。
「いいものだな、夜の薔薇も」
こう呟いている時だ。ふと声を聞いたのだ。
「奇麗・・・・・・」
「んっ?」
その声がした方を見た。そこはバルコニーだった。
バルコニーを見上げるとだ。彼女がいた。
「あれは・・・・・・」
ジュリエットであった。月を見上げる彼女のその姿はだ。ロミオをして夜の中の薔薇なぞ比べ物にならないまでに目をひくものであった。
それで彼女を見上げているとだ。思わず声が出てしまった。
「美しい・・・・・・」
「えっ?」
今度はだ。ジュリエットが気付いたのだった。
「誰です
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