第16話 東西交流戦最終夜 前篇 逆転ムードからの、まさかの本陣強襲!?
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士が、憮然とした態度で立っていた。
その瞬間、本当の戦場を経験してきた《猟犬》と《女王蜂》は瞬時に身構えを取った。
しかも、各々の主を守る様にして。
「あずみ?」
「マルさん?」
二人のあまりの態度の切り替えにより、英雄とクリスは首を傾げる。
「英雄様、お気を付けください!」
「女王蜂の言う通りです。クリスお嬢様!恐らくは助っ人でしょう」
事実、突如として本陣を強襲してきた黒騎士は、異様なオーラに包まれていた。
そんな勝利ムードをぶち壊しにした黒騎士から、とある言葉が放たれる。
『降伏しては下さらぬか?出来れば怪我人を多く出したくない故に』
変声期でも使っているのか、くぐもったトンデモナイ爆弾発言が発せられた。
それを聞いた上記の4名以外の手練れたちは・・。
「なにをいっとるんじゃ?こやつは?」
「おいおい・・。そりゃあ、こっちのセリフだぜ!」
「俺様達を見てそんな口を吐くなんて、なかなかじゃねえかよぉ」
他の者達も同様だった。
戦況も、今この場もこちらが上にも拘らず、何故こちらが降伏しなければならないのかと言う、呆れにも似た雰囲気だった。しかし、黒騎士の次の言葉によりそんな意を返さぬ態度も一変する。
黒騎士は周りを見回してから告げた。
『私は・・、弱い者いじめをする趣味など、持ち合わせてはいないのだがね・・』
それを聞いた手練れや武家の血を引く者達の中で、怒気が爆発した。
そして・・。
その他H以下『舐める(なぁああ・ないでぇええ)−−!!』
その言葉と共に一斉にかかっていく兵達。
しかし、マルギッテやあずみは確かに見た。
黒騎士の甲冑の中に僅かに見える瞳が笑っていたのを。
まるで、策が成功したと言わんばかりさを。
「「ま、待て!!?」」
しかし、もう遅い。
黒騎士を中心に、異様なほどに気が収束していく。
黒騎士は、右手に持っていたランスを天に向けるようにしてから、向かってくる手練れ諸君らを迎撃する様に、ランスを引き絞りつつ技を発動させる。
『暁流、槍術―――――――《覇国》!!!』
その言葉と共に、気により形成された巨大なランスの切っ先が、手練れメンバーに直撃する。
ズッォオオォン!!
技の威力により、向かっていった手練れメンバー全員が気を失った。
『見た通り、この技は固まっている相手を殲滅するための広範囲の槍術だ。勿論、当身程度に成る様に威力をかなり低くしたが、な』
余裕に構えながら話す黒騎士の両翼から、風間と準が挟撃する様に兜に向かって殴りかかる寸前だった。
しかし、黒騎士は一歩後ろに下がる事で、それを躱した。
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