第2部 風のアルビオン
第4章 港町ラ・ロシェール
[1/8]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
朝もやの中、ルイズとギーシュは、馬に鞍をつけていた。
ルイズはウルキオラに質問した。
「ねえ、ウルキオラ」
「なんだ?」
「さっきの映像に映っていたオレンジ色の髪の男の持ってた剣って…」
ルイズはそこで言葉を止めた。
「ああ、『破壊の剣』だ」
ウルキオラはデルフリンガーを背負いながら答えた。
腰には斬魄刀を差しているので、背負うしかなかった。
「やっぱり…」
ルイズは俯いながら言った。
ルイズはいつもの制服姿だが、乗馬用のブーツを履いていた。
どうやら、長く馬に乗るつもりらしい。
そんな風に出発の準備をしていると、ギーシュが困ったように言った。
「お願いがあるのだが……」
「なんだ?」
ウルキオラはポケットに手を突っ込みながら、ぎろっとギーシュを睨みつける。
あれだけ自分勝手なギーシュを信用していないのである。
「僕の使い魔を連れて行きたいんだ」
「使い魔なんかいたのか?」
「いるさ。当たり前だろ?」
ウルキオラとルイズは顔を見合わせた。
それから、ギーシュの方を見た。
「勝手にしろ。それで、どこにいる?」
「ここ」
ギーシュは地面を指差した。
「お前の使い魔はその雑草か?」
「違うわ!」
ギーシュは大声で否定し、足で地面を叩いた。
すると、モコモコと地面が盛り上がり、茶色の大きな生き物が、顔を出した。
ギーシュはすさっ!と膝をつくと、その生き物を抱きしめた。
「ヴェルダンテ!ああ!僕の可愛いヴェルダンテ!」
ウルキオラは心底呆れた声で言った。
「なんだそれは?」
「なんだとはなんだ。僕の可愛い使い魔のヴェルダンテだ」
「あんたの使い魔ってジャイアントモールだったの?」
果たしてそれは、巨大モグラであった。
大きさは小さいクマほどである。
「そうだ。ああ、ヴェルダンテ、君はいつ見ても可愛いね。困ってしまうね。どばどばミミズはいっぱい食べてきたかい?」
モグモグモグ、と嬉しそうにヴェルダンテが鼻をひくつかせる。
「そうか!そりゃよかった!」
ギーシュは巨大モグラに頬を擦り寄せている。
ウルキオラは呆れて声も出ない。
「ねえ、ギーシュ。ダメよ。その生き物、地面の中を進んでいくんでしょう?」
「そうだ。ヴェルダンテはなにせ、モグラだからね」
「そんなの連れて行けないわよ。わたしたち、馬で行くのよ」
ルイズは困ったように言った。
「結構、地面を掘って進むの速いよ?なあ、ヴェルダンテ」
巨大モグラはうんうんと頷く。
「わたしたち、これからアルビオンに行くのよ。地面を掘って進む生き
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ