第七十話
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、嫌と言うほどレコンから聞いているが……俺たちにも策がないわけではない。
「シルフとケットシーの増援、よね」
「増援?」
シルフとケットシー、そしてサラマンダーを巻き込んだ一連の事件は、レコンからの事前の連絡とキリトの敵大将撃破により終結を告げた。ここからは俺の預かり知らぬところだが、キリトが全財産を――SAO時のキリト夫妻のデータを引き継いでいるので、それこそ億万長者だっただろう――シルフとケットシーに渡し、出来るだけ早くの《世界樹》攻略戦を約束したらしい。そのせいで先日の割高なホテルが金は俺が出すことになったが、準備が出来たらレコンに連絡が来るとのことだ。
「……そんなのは待ってられない、俺たち六人だけで……」
……ボソリとキリトがそう呟いた言葉は聞かなかったことにすると、菊岡さんから予想外の質問が寄せられた。
「しかし、そのシルフとケットシーの援軍はどうやって来るんだろうね? キリト君だって、世界樹に行くだけで苦労するんだろう? 戦力を維持したまま世界樹まで行けるのかい?」
「え? ああ、それは――」
菊岡さんが発したその質問は、奇しくも俺がログアウトする前にリーファへと発したものと同じだった。その返答のままとなってしまうが、菊岡さんへと説明する。
リーファ曰わく、ケットシーは世界樹進行用の空路――俺や里香たちが利用した、ウンディーネが制作していた水路のような物だろう――を既に制作しているとのこと。輸送用の飛竜を用意し、世界樹攻略に参加しないプレイヤーが総出でガードすれば、無傷で世界樹まで行く事も不可能ではないらしい。シルフ軍はその空路に相乗りさせてもらい、キリトという特別な戦力とサラマンダーの活動が沈静化している今が、世界樹攻略のチャンスだとは領主たちも考えているらしい。
「ふむふむ。ありがとう一条くん、これで納得したよ」
――と、リーファの受け売りで説明していくと、菊岡さんは妙に納得したような表情で頷いた。キリトの現状報告より、このどうでも良い情報を気にしているような……?
「――っと、悪い。そろそろアスナのお見舞いの時間なんだ」
キリトがそう言いながら《ダイシー・カフェ》名物の辛いジンジャーエールを一気飲みすると、素早くコートを羽織るとエギルに代金を手渡した。アスナのお見舞いに行くにしたって、いささか慌てているようにも見える。
「どうしたキリト、そんな慌てて」
「スグ……妹を待たせてるんだ。アスナのお見舞いに一緒に行きたいってさ」
「へぇ……キリト、あんた妹いるの? 可愛い?」
変なところに里香が反応して突っ込んだ。「……妹がいちゃ悪いかよ」と返しつつ、キリトがいそいそと帰る準備を整える。……可愛いかどうかは答えないらしいが、わざわ
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