第七十話
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について話すことが出来そうだ。
「しかし、レクトの結城――いや、須郷伸之、か」
菊岡さんが顎に手を当てて考え込む動作を取る。ALOはレクトの子会社が発売しているゲームであり、須郷伸之が言っていることが本当ならば、レクトのフルダイブ関係のトップは須郷ということになる。これまでは、それはただの疑惑で済んでいたが、ALOの内部構造がSAOに酷似している――これはユイの調べで明らかだ――ことに加え、眠っていた方が彼にとって都合の良いアスナ。関係がないと言いきる方が難しい。
「対策本部からは調べられないのか?」
「……いや、役に立たなくて悪いけど、これだけではね……」
キリトの直球な質問に対して、菊岡さんは残念そうに首を振る。当然だ。俺たちが言っていることは、まだ言いがかりにも満たないのだから。いくら関係があると考えても、これだけでは菊岡さんは動けない。
「エギルがネットから見つけたっていう、アスナの写真は? あれじゃダメなの?」
里香がさらにそうたたみかけるように質問するものの、彼女本人も分かっているだろう、ネットで一プレイヤーが撮った写真にどんな効力があるというのか。やはり菊岡さんの返答は芳しくなかったものの、「ただし」、と言葉の末尾に置く。
「アンドリュー氏の写真は対策本部でも検証済みだよ。十中八九、結城明日奈さんで間違いないとね」
「……それだけ聞ければ充分です。なぁ、キリト」
ここまで来て他人の空似ではどうしようもない。俺の問いにキリトも力強く頷くと、さらに次の話題に移る。このまま対策本部のことだけを話していても意味はない。……それに、菊岡さんが本当に何も動いていないとは思えない。
「キリト、ALOの中の方はどうなんだ?」
「ユイに計測してもらったけど、やっぱり中はSAOだ。もちろん、ちょっとは弄ってあるみたいだが……」
「ゲーム内部に何かあれば対策本部が動ける。そうなれば、めでたく事件解決だ」
外部からの解決が期待できないなら、ゲーム内部からの解決――ないし、証拠を見つけて外部に連絡する。最低条件はやはり、《世界樹》の上にいるであろうアスナとの接触か。ただし、ゲーム内部でいくら証拠を掴んでいようが、やはり最後は菊岡さんを始めとした外部に任せるしかない訳だが。
「シルフのプレイヤーが二人協力してくれて、世界樹の街までは辿り着いた。今日にでも、世界樹の攻略に入れる」
「……流石はあのSAOの生き残りたちだ、仕事が早いね」
「だがよキリト。ちょっと調べてみたが、世界樹の中は並じゃないらしいじゃねぇか。大丈夫か?」
珍しく菊岡さんの感嘆の感情が籠もった言葉の次に、エギルの心配そうな声がキリトに問いかけられる。俺と里香も、《世界樹》の攻略の難しさは
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