暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
殺し屋は身近なところにいるという皮肉をケンジは知らない
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る苦笑いであり、自分に対する呆れだった。
――にしても全く、無駄な時間だったよ。
――けど一番無駄だったのは、俺の感情だ。
たった今ケンジを見て無意識に笑っていた自分すらも馬鹿らしい。途中から笑みの意味を切り替えたのはそれが理由だ。自分は人間関係を無駄なものとして切り捨てる存在。それなのに――
――今頃になって、俺は人との関係を取り戻したがってる?殺し屋の俺が?
まず自分の心に嘘を吐かず、瞬時に浮かび上がった理論を心中で唱えてみた。そう考えること自体恥ずかしくて馬鹿馬鹿しかったが、それを欲しがっている自分がいるかもしれないという可能性が彼自身をさらに苛立たせる。
――どんなに頑張っても振り向いてくれなかった。それが悔しくて悲しかった。それなのに、俺はまだ諦めてなかったのか?人との繋がりってやつを。
――下らない。単に暁の優しい性格に触れて気が狂っただけだ。
結局自分の内側に蓋をして考えを全面否定する要。そうでもしないと、自分が今まで送って来た人生が無駄に見えてしまうからだ。
そこからは頭を勉強モードに切り替え、モヤモヤする感情と殺し屋としての自分を一度スリープした要。彼は最後まで気付かなかった。
暁ケンジは純粋に殺し屋を『バイトとして』見ていて、要が本気なら実際に誰かに話を付けてしまっていたという事に。復讐を原動力にするケンジにとって殺し屋としての日常は復讐、学校に次ぐ三番目の存在なのだ。
そんな捻くれた理論を内に秘めているとは知らずに、要は心に
蟠
(
わだかま
)
っていた疑問を勝手に霧散させた。
『新人』『片手撃ち』という二つの特徴を持つ殺し屋との殺し合いを心の底から楽しみにしながら。
*****
放課後
今日もバイトは休みのようだ。報告会議は次の土曜日と決まっているのだが、その間に仕事は一個も入っていない。とはいえ、今週はまだ始まったばかりで今日は火曜日。連絡が入り次第行けるように準備をしておいても損はないだろう。
――今日は早く帰って寝よう。さっきまで寝てたけど、まだ眠いや。
午後の授業は全部寝て過ごした。気付いた時にはもうHRで、隣の女子が申し訳なさそうに起こしてくれた。人柄は良いのだが、授業に対する姿勢が人一倍ダメなので教師からの評価は十人十色である。
ケンジは重たい
瞼
(
まぶた
)
を擦りながら校舎を出た。途端に放課後の陽射しが彼の視界を激しく揺さぶり、思わず目を細める。彼は右手を額辺りに
翳
(
かざ
)
して少し先にある校門へと歩き出したのだが、突然後ろから誰かに衝突され、勢いよく前方に倒れる。
「うわぁ!」
情けない声と共に身体を地面へと叩きつけられたケンジ。しかし柔道の時間で習った前受け身が偶然発動し、
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