暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
少しずつ浮き上がって来た裏の事情を赤島は推測する
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女性に、赤島は「それもそうだな」と口にした後、本題に移る事にした。

 「で、お前はどう思う?」

 その質問の意図を察した宮条は、ふぅっと息を吐くと枝毛の目立つ髪をわしゃわしゃさせながら言った。

 「何者かが裏で暗躍してる、と私は思う」

 「……だよな。俺もそう考えてる。実際、昨日戦った奴は時間稼ぎしていた。何にかは分からねえけど」

 「時間稼ぎ?」

 「ああ。これでも長年殺し屋やってんだ、そのぐらいは分かる」

 少しおどけた調子で言うが、それを聞いた宮条の顔は晴れない。

 「だとしたら、この組織今危険なんじゃない?」

 「まあな。でも、俺らにはどうしようもないってのも一つの事実だぜ。こっちは人を殺すだけで、探偵ごっこまではやってないからな」

 赤島はそう言いながらも、心中でそっと呟いた。

 ――探偵ごっこは冗談にしても、阿久津さんに電話が通じなかったのは不思議だ。

 右手の治療が終わった後、次の報告会議を聞くために阿久津へ電話を掛けたのだが、何度やっても応答はなかった。あの生真面目で局長に忠誠を誓う副局長が電話に出ないというのは些か疑問に残る点だった。いつもならプッシュ音三回ぐらいでいつもの枯れた声が聞こえる筈なのだが……。

 そこで仕方なく、チームCのリーダーである大河内に電話を掛けた。各チームのリーダーは全員阿久津の電話番号を知っている。八幡だけは局長の電話番号を知っていたが、今はもういない。チームDのリーダーは今の組織状況を知らないだろうから、彼しかいなかった。

 『ああ、次の報告会議は四日後です。それと次の作戦もあるそうです』

 ざらつきの無い凛とした声が、いまだに残滓となって赤島の耳朶に残り続けている。思えば今回の作戦でエラーを起こしたのは大河内だった。

 チームを二つの分断し、一つを遠距離狙撃班に、もう一つを襲撃班にした強襲作戦。大河内率いる狙撃チームは段階通りに敵を撃ち、宮条もそれに従って動いた。だが予想外だったのはこの後だった。

 戦闘が終わり、赤島達は当初の予定通りに組織の下っ端が回してきた車に乗り、その場を後にした。その車内で宮条が口にした言葉は誰もが驚愕した事実だった。

 『裂綿隊は防弾チョッキを着ていた。だから一人も狙撃では死んでいないの』

 その言葉を脳裏で反芻しながら、改めて隣を歩く宮条に問い掛けた。

 「なぁ宮条」

 「何?」

 「裂綿隊が防弾チョッキか何かを仕込んでたってのは、マジだよな?」

 「こんな嘘を吐いたところで何の意味があるの?」

 「確かに。じゃあ、その後の戦闘で『重み』は感じなかったか?」

 「重み、ね。……確かに感じたわ。誰が狙撃を受けたかは把握してないけれど、戦
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