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横浜事変-the mixing black&white-
田村要は自分の結論を汚れた世界に導き出した
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な笑みをもって言葉を紡ぎ出した。
「貴方達が何を目論んでいるのかは、後々聞かせてもらうわ。そのためには顔と胴体と足は必要よね。足は切り離すけれど」
どうして足を残しておく必要があるのだろうか。宮条の言葉に素朴な疑問を覚えた殺し屋達だったが、その答えは本人の口から何気ない風に飛び出てきた。
「ちなみに、拷問中にお腹が空いたら自分の足を食べなさい。食糧を分け与えるつもりはないから」
*****
「予定通りアタック掛けるから、ちゃんと捕まっとけよお前ら」
宮条から携帯で合図を受け取った赤島達のバンは、左曲りの道の時点で少しずつ速度を上昇させていた。そして埠頭内に建てられた無数のビルや工場の一つから人の姿を確認した赤島は、運転手に対してキッパリ言った。
「あそこに隠れてる奴ら、見えるか?」
「はい」
「よし、んじゃ
轢
(
ひ
)
こう」
「り、了解」
『じゃ飲もう』的な明るい感覚で指令を下す赤島に動揺しながらも、運転手はアクセルを強く踏み込み、建物に隠れる敵目掛けてバンを走らせる。窓からの景色にブレが浮かんでくるのを見て、ケンジは背筋に冷水を浴びせられたような悪寒を感じた。
「これ、建物にぶつかったりしませんか……?」
意気のない声に赤島が敏感に反応する。
「それは運転手の腕次第だ」
「そんな!」
悲痛な声で叫ぶケンジに、隣で拳銃のチェックをしていたモヒカンが彼の肩をポンと叩き、
「何事も経験だよ、新人君」
「こんな経験はあまり欲しくないです!」
鋭い突っ込みを受けるものの、モヒカンの顔は依然として笑みを浮かべたままだ。そして運転席の方を指さして声を上げる。
「あ、敵だ」
その言葉を証明するかのように、彼らの乗るバンが何かに乗り上げてスピードが強制的に失速した。しかし、それでも目の前の建物に衝突しそうになり、ケンジは思わず目を瞑った。
だが運転手は寸でのところでハンドルを右に切って、建物との衝突を上手く避ける。とはいえ、完全に避けたわけではなく、左ミラーを根っこから損壊させてしまっていたが。
そのときバンの後方から何かが弾けるような音が連発した。恐らく敵の攻撃だろう。このバンが防弾に優れた車体でなければ、今頃タイヤを狙われて行動不能になっていたに違いない。
そこでバンは迂回するように車体を左に曲げていき、再度スピードを上げていく。もう一度敵の元へと突っ込む気なのだろう。
しかし相手もそう簡単にはやらせてくれない。
「全員何かに掴まれ!」
赤島がいつも以上に大きい声で呼びかけた瞬間、バンがこれまでで一番大きい衝撃を受けた。薄目から覗いた視界で分かったのは、バンが横
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