第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十六日・夜:『屍毒の棘』
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っかしい気がするナ〜ゴ』
「それ、どー言う意味なのよ!」
「超妥当な人選ですね。じゃあ、私は超見張ってますんで」
コツコツとリノリウムの床から発する足音が、小柄なフードの少女が。最低限の光量しかない医院の暗がりに、溶け込むように吸い込まれていく。
その後ろ姿。小さく、しかし頼りになりそうな背中を見送り────
(ショゴス、二人の影に一部忍んどけ……何かあったら、直ぐに知らせろ)
『てけり・り。てけり・り!』
『てけり・り。てけり・り?』
『てけり・り。てけり・り♪』
命じれば、多少は復活したショゴスが一部分裂。最愛の影に紛れて追跡・監視を始める。勿論それは、フレンダの影にも。
幾ら細分化しようと、ショゴスは主人である嚆矢と潜在意識で繋がっている。まぁ、分ければ分けただけ並列で情報を処理する事になり、困難の度合いが増すが。
「ちょ、絹旗……うわ、結局、マジであんたと二人? あー、思い出した……今日の運勢、最下位だったのよ」
『そこまで喜んで貰えるなんて……オイラ感激の余り涙がチョチョぎれてくるニャアゴ』
これだけの声で騒いでも、南側エントランスホールは実に静かだ。当直医もいるだろう、正確には『獲物』だが。
現在位置は、通常は閉鎖される側の出入り口。守衛や関係者はそちらの筈。とは言え、幾らなんでも静かすぎる気もするが。
「ハァ、まぁ、結局愚痴っても仕方ないし……さっさと終わらせる訳よ、ジャーヴィス?」
カチャリ、と。スカートの裾から黒い塊を取り出したフレンダ。相変わらずの四次元スカート、間違いようもない、それは拳銃だ。
『グロック』系統だろう、しかし彼女くらいの掌に合わせた小型のもの。弾倉と安全装置を確認して、彼女は不敵な笑顔でそう口にして。
『オーケイニャア。下調べ済みだし、早速鼠取りと洒落混むナ〜ゴ』
ならばとばかりに、此方も徒手の掌から『南部式拳銃』を取り出して、くるくると弄ぶ。弾は充分、安全装置も解除してある。
惜しむらくは、暫くは『賢人バルザイの偃月刀』は使えない事。接近戦は合気で行うしかない、と。
────本当にか? 本当に、他の近接武器は持ってなかったか?
何故か、そんな事を自問して。まるで、耳朶に囁かれたかのような気分で……気を取り直し、猫覆面に不敵な笑顔を浮かばせて。
「じゃ、手始めに研究成果からいただく訳よ」
歩き出したフレンダ。その後を歩きながら────一度軋んだ天井、そこを見詰めて。何事もなく歩き去る。
『…………』
その澱んだ闇に浮かぶ、小さな……燃え盛る
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