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第一章
逆説ロミオとジュリエット
カプレーティ家とモンテッキィ家は誰もが知る犬猿の仲だ。
それでだ。街のあらゆる場所で騒動を起こしていた。
街で双方が衝突しない日はなかった。来る日も来る日も決闘沙汰であった。
「困ったことだな」
「全くだ」
街の議会も頭を抱えていた。
「あの両家がこのまま対立を続けていたらな」
「街の平和なんて夢の話だ」
「あの両家はどちらもこの街で一番の権勢家だからな」
だからこそ対立しているという一面もあるのだ。
「このまま衝突が続けば街の繁栄にも影響がある」
「両家の当主はどう考えているんだ?」
「それも問題だがな」
「衝突を繰り返してもいいことはない筈だ」
議員の一人が言った。
「どちらにとってもな」
「ああ。怪我人も出ているしな」
「何時死人がいてもおかしくはない」
「それに」
さらに話されていく。
「衝突が続くと両家の力にも影響するしな」
「ここは両家の為にも街の為にも」
「何とかしてもらうか」
「よし、それならだ」
ここで話されるのだった。
「手を打つか」
「手を?」
「どうするんだ?」
「考えがある」
こう話してだった。彼等は動いたのだった。そうしてだった。
カプレーティ家の屋敷でだ。一人の背の高い男が豪奢な廊下を行ったり来たりしている。黒いビロードの服にマントを羽織っている。黒い髭は端整に切り揃えられ黒い髪を後ろに撫で付けている。彫の深い顔で鼻が高い。目は黒く強い光を放っている。
その彼のところにだ。栗色の髪を伸ばした緑の目の若者が来た。青い上着に緑のズボンにマントという姿をしている。
「叔父上、御呼びですか」
「うむ、テバルドよく来てくれた」
男はまずは若者をこう呼んだのだった。
「それでだが」
「それでなのですか」
「総督と議会から話が来た」
「それで何と」
「件のことでだ」
こうそのテバルドに話す。
「何とかせよとのことでな」
「ふむ。それではですが」
「それでは?」
「はい」
こうして話をはじめるのであった。そしてだ。
モンテッキィ家の屋敷でだ。赤い上着と黒いズボン、それに白いマントの若者がいた。茶色の髪に青い目を持っており白い顔はまだ幼さが残るは整っている。大きな目をしており口元は引き締まっている。彼は今白髪の男と話をしていた。
「それでロミオ様」
「うん、ロレンツォ」
まずは互いに話をし合うのだった。
「お父様の御言葉なのですが」
「父上から?」
「そろそろ結婚されてはどうかと」
こう話すのだった。
「そう仰っていますが」
「結婚か」
「ロミオ様ももうその頃です」
結婚する時期だというのである。
「ですからこ
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