str1『監獄の始まり』
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器の方が相性がいいのだが、日本刀はβ時代を含めて、この世界には存在しなかった。噂によれば第十層に刀を使うモンスターがいたとのことだが、残念ながらクロスは最高で八層までしかたどり着けなかったため、彼らとは出会っていない。
刀と形状のよく似た《曲刀》という武器はあるのだが、この武器、《片手用装備》なのである。クロスが日本刀に求めているのは、『両手用装備の剣であること』。だとすれば、相性がいいのは必然的に両手剣になってくる。
SAOをSAO足らしめる《ソードスキル》の使用のためには、スキルが必要だ。そして《両手剣》のスキルは、《片手剣》スキルの派生。幸い、既にスキルスロットに《両手剣》は出現している。問題はあるまい。
あとは買い揃えられていない防具と武器を揃え、β時代通ったクエストをクリアしていく。そしていずれは第一層ボス攻略戦にも参加し、レベルを上げる。
そうして、生き残る。戦いに参加すれば死ぬかもしれないが、参加せずに弱いままでは、もっと危険だ。第一層の安全地帯にとどまる、という手もあったが、恐らくはその安全も永遠ではない。例えば、街中にモンスターが出現するようになるイベントやバグが起きる可能性が、全く皆無、とは言い切れない。いやむしろ、茅場晶彦自身がそれを仕組んでいる可能性だってある。
だったら、安全がなくなっても対応できるように、強くなるべきだ。
やるべきことは、決定した。
「……はじめようか」
クロスは小さくつぶやくと、β時代の記憶を頼りに、両手剣を扱っているNPCショップへと向かった。
偽物の空が、夕やけ色に染まり始めたころ。
二年にわたる剣の監獄の、始まりの日の出来事だった。
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