サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!
「この世界」におけるイレギュラーたち
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になりながらも、どうにか咲は呑み込んだ。
「あの人も、アーマードライダーだったの?」
「いや。あいつのベルトとロックシードは俺が使ってる。あいつはアーマードライダーになれなかった。それが?」
「あ、ううん。あの人、ロックシード持ってたから、あの人も鎧武のアーマードライダーなのかなって思っただけ」
「裕也がロックシードを――?」
すると紘汰は考え込むように俯いた。邪魔してはいけない気がして、咲もまた黙り込んだ。
***
――その頃の呉島邸。
光実は遅い朝食をすませ、自室へ戻るべく階段を登っていたところだった。
「光実」
階下から貴虎の声がして、光実は足を止めた。
ふり返った貴虎は、いつものキャリーケースを持ったスーツ姿。見た目に何らおかしな点はない。
「最近集中できてないようだが、何か悩みでもあるのか?」
「っ」
兄のそのたった一言が、危うく光実の擬態を剥がすところだった。
「……別にそんなことないよ。兄さんは、出かけるの?」
「ああ。碧沙の見舞いにな」
声を上げなかった自分を褒めてやりたい。光実は心底そう思った。
「あいつが目覚めた時、そばにいてやらんと寂しがるからな」
「う、ん。そう、だね。碧沙は兄さんのこと、大好きだもんね」
「光実」
自分を見上げる貴虎は、どこまでも優しい表情をしていて。大切な者を慈しむまなざしをしていて。
ずっと欲しかったはずのものがこんなに近くにあるのに、光実の心は貴虎から離れていくばかりだった。
「碧沙はお前のこともちゃんと好いてるぞ。俺が妬くくらいにはな」
「……そう」
気をつけて、と定型句を投げかけた。貴虎は玄関から出て行った。
光実は気が抜けてその場に座り込んだ。
――今朝もどうにか貴虎を欺き通した。
そもそもの始まりはどこだったのか。光実は回想する。
(僕と兄さんはレデュエの下で囚われの身になってるはず。ならこれは僕が見てる夢? でも夢にしては、今日までの毎日にリアリティがありすぎた。痛みも五感もちゃんとあった。限りなく現実に近い何か。何が起きてこうなったのか、確かめないと)
光実は、「この世界」に入ってから日課となった情報収集のため、荷物を取りに自室に戻って行った。
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