サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!
「この世界」におけるイレギュラーたち
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元はチーム鎧武のダンスステージだった場所は、サッカーを観る人や話題にする人で溢れ返っていた。
その中で、浮かない顔をする青年が一人。咲は迷わず駆け寄った。
「紘汰くん!」
「咲ちゃんっ? と……君は、あの時の」
「ラピスに聞いたよ。紘汰くん、ラピスのこと知ってるんだって?」
「ああ……ええっと、俺は葛葉紘汰」
「サキから聞いてる。ボクはラピス。よろしく、コウタ」
ラピスは満面の笑みを浮かべた。
「サキと一緒に観てたよ。コウタたちの試合。コウタの言う通りだった。サッカーって楽しいね。誰も傷つかない。命の失われることのない戦い。すごいよっ。こんな戦い方があったんだ」
ラピスは数歩踏み出し、広場の観衆を見渡した。
「この街は平和だ。もう何も犠牲にすることない」
別のチームを応援しているサポーター同士でも、険悪な雰囲気にならない。近くでは、有名な炎のエースストライカーが点数ボードをボールで蹴り抜き、観客はパフォーマンスに喜んで拍手している。至る所がサッカー、サッカー、サッカーだらけだ。
「こんな楽しい日々が永遠に続けばいい。そうは思わないかい?」
咲と紘汰をふり返ったラピスの表情に、嘘は欠片もなかった。彼はこの、まるで儚いユメのような平和を、本当に愛していた。
咲は紘汰と、互いに困った顔を突き合わせるしかなかった。
「紘汰!」
呼ばれて、咲も反射的にふり返った。
駆けてくるのは咲が知らない金髪の青年。
「裕也」
「探したぞ。いつもドルーパーズにいるくせに、今日に限って外歩きって。ひょっと次の試合に向けて柄にもなく緊張してたり……誰だ? その子」
咲は最初、裕也がラピスのことを指して言ったのだと思い、ラピスをふり返った。
しかし、そこにはすでにラピスの姿はなかった。
「え、っと……友達。咲ちゃんっていうんだ」
「あっ、は、はじめまして。室井咲です」
「相変わらず交友関係広いな〜お前。――俺、角居裕也。これでもチーム鎧武のリーダーなんだぜ。ヨロシク」
「よ、よろしくです」
咲は慌てて頭を下げ――見つけてしまった。自分の背の低さだから見つけられた。
裕也はズボンのベルトに、見たこともない、黒ずんだロックシードを括りつけていた。
「そうだ。舞から予選突破祝いにシャルモンでお茶しないかって。咲ちゃんも来るか? 女子は好きだろ、スイーツとか」
咲は紘汰を見上げた。紘汰は肯いた。
「じゃあ、ごいっしょ、させてください」
歩き出した裕也に、一歩遅れて咲は踏み出した。
「――紘汰くん。あの人って」
「……死んだはずなんだ。俺が初めて変身した時に殺したインベスなんだから」
二の句を継げなくなりそう
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