サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!
咲とシャムビシェ
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と、おなじ」
「いじめ? それは何?」
「なに、って……、……悪いこと、だよ。人をキズつけて、泣かせて、それを楽しがる、サイテーなこと」
「ジュグロンデョは他者を貶めて楽しむ種なの?」
「ち、がうよ! あれは……あたしが、あたしだけ、ヒドイ子だったから」
咲は少年を見上げた。少年はヒマワリフェザーを見て「ジュグロンデョ」と呼んだ。おそらく少年はオーバーロードだ。
けれども、彼が咲にジュグロンデョを見出したように、咲も彼の顔立ちに遠くない日の「彼」を重ねた。
壊れた教会の汚れた長椅子に、少年と並んで座り、咲は自身の過去をつまびらかにした。
――室井咲は昔、他人を「いじめ」に遭わせたことがある。
同じダンススクールの男子生徒をターゲットにした。男とも女ともつかない造作で、今思えば、この少年のように中性的で神秘的な顔立ちだった。
それを咲は「女顔」と嘲り笑い、男子にとっては屈辱的な「女扱い」をいくつもけしかけた。謝っても謝っても雪げない罪だ。
「教会でこんなこと言ってるって、なんか、懺悔みたいね」
「ザンゲ?」
「神さまに罪を告白して、ゆるしてもらうこと。あたしもしばらくはおせわになった」
「彼」がダンススクールを辞めてから、いじめのターゲットは咲に変わった。
いじめられる側になって初めて、咲は自分がどれだけひどいことを「彼」にしたかを理解し、その重さに潰れそうになった。
そんな時に、ヘキサが教会での懺悔を勧めてくれた。
「あ。ってことは、今聴いてくれてるあなたは、あたしにとっては神さまね」
「神、様? ボクが?」
「うん。おかしい?」
「おかしいよ。キミのほうこそ神様なのに」
大真面目に言う少年に対して、咲は苦笑しかできなかった。
「あたしはジュグロンデョかもだけど、人間だよ。咲ってゆーの。む・ろ・い・さ・き」
「サキ……ボクはシャムビシェ」
「よろしく、シャムビシェ」
「よろしく、ジュグ……サ、キ」
ちゃんと名を呼んでくれたシャムビシェ。咲は今度、ちゃんと笑うことができた。
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