消えゆく者・託されし想い
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サラ姫を、頼むって………イングズの遺言でもあるのに。なぁエリア、おれ、どうしたら──── 」
彼女はふと、マグカップを小テーブルに置き、その華奢な両腕でおれの頭を抱き寄せた。
「わたしは────サラさんという方にお会いした事はまだありませんが、イングズさん………彼にとって大切な方だというのは分かるつもりです。
ルーネスさん……、あなたから話しづらいのであれば、わたしからサラさんにお話します。
遅かれ早かれ、その方は知らなければならないのです。
大事な方が………もうこの世には存在しないのだという事を」
「 ……じゃあ"あの世"ってのがあるなら、後追いでもして死んだら逢えるのか? サラ姫なら、しちまいそうだけど」
おれはつい、エリアの腕の中で皮肉にも取れる云い方をした。
けど耳元のエリアの口調は、あくまで優しかった。
「あの世なんて保証は、どこにもありませんね。死んでみなければ分からない事ですし。
大切な人が亡くなったら、誰しもショックが大きいのは当然です。
そこから立ち直れるかそうでないかは、その人次第です。
でも……、そんな人を支えてあげられる存在も居るはず。
彼が"頼む"と云い残したのは、そういう事ではありませんか?」
「おれが………サラ姫を支える? 出来る訳ない────イングズの代わりになんて、なれないよ」
「そうですね……。だからルーネスさん、わたしがあなたを支えます。
一緒に……、サラさんの支えになりませんか?
彼は、貴女の後追いなど決して望んではいない。
生きて天寿を全うしなければ、彼の魂には逢えないと、嘘でも信じられるようにしてあげましょう」
「それって何か、強引だなぁ。けど………うん、ちゃんと話す。イングズから託された想いを、サラ姫に分かってもらいたいから」
「 ────ちょっとちょっと、いい雰囲気のとこ悪いけどあたし達も忘れてもらっちゃ困るわよ?」
「そうだよ、ルーネスとエリアさんだけに任せるつもりないからね」
いつの間にかドアを開けて入って来ていたレフィアとアルクゥに驚き、おれは抱かれていたエリアの腕から慌てて離れた。
「わ、忘れる訳ないだろ……! 二人の事も、頼りにしてるよ。
行こう、サスーン城へ────サラ姫に会いに」
END
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