暁 〜小説投稿サイト〜
この世で一つだけのメリー=クリスマス
第三章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
いるような、苦笑いとはまた違った複雑な顔を見せてきたのであった。
「どうしてドイツにしたのか」
「うん、それなら」
「やっぱりケーキとワインよ」
 どちらも大好きな未来らしい言葉であった。
「特にクリスマスなんだしね」
「クリスマスだからなんだ」
「そうよ。それで」
 ここで彼女は話を本題に向けるのであった。目の色が一変した。
「持って来たわよね」
「勿論」
 光男ははっきりと答えたのであった。
「とびきりのをね」
「私もよ」
 未来は自分の鞄を見ながら笑うのであった。どうやらそこには彼女の自慢のプレゼントがあるらしい。その笑みでそれがわかる。
「期待しておいてね」
「君もね」
 光男は光男で自分の鞄を見る。黒い大きな鞄であった。
「僕のも期待していいから」
「随分強気なのね」
 未来は光男のその言葉に面白そうに笑った。
「いつもよりもずっと」
「それだけのものだと思うから」
 本当に自信に満ちた笑みを見せるのだった。
「苦労したし」
「私だって苦労したわよ」
 未来も同じ言葉で彼に返すのだった。
「それもかなりね」
「何かお互い苦労したみたいだね」
 光男は彼女の言葉も聞いて何かそうした気持ちになった。別に苦労しなくてもいいのにあえて苦労をした、そうしたプレゼントなのだなとも思った。
「けれどそれがね」
「ええ。プレゼントのしがいがあるわ」
 未来は言う。
「私もね。光男君もでしょ」
「そうかも。多分未来ちゃんと同じ気持ち」
 光男もそれを認めるのだった。
「それじゃあその同じ気持ちで」
「楽しい時間を過ごしましょう」
「クリスマスのね」
 そう話をしてそのドイツ料理の店に行く。まずは簡単なサラダとジャガイモのコンソメスープが出る。サラダはともかくスープにジャガイモが入っているのはまたドイツらしかった。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ