第三章
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いるような、苦笑いとはまた違った複雑な顔を見せてきたのであった。
「どうしてドイツにしたのか」
「うん、それなら」
「やっぱりケーキとワインよ」
どちらも大好きな未来らしい言葉であった。
「特にクリスマスなんだしね」
「クリスマスだからなんだ」
「そうよ。それで」
ここで彼女は話を本題に向けるのであった。目の色が一変した。
「持って来たわよね」
「勿論」
光男ははっきりと答えたのであった。
「とびきりのをね」
「私もよ」
未来は自分の鞄を見ながら笑うのであった。どうやらそこには彼女の自慢のプレゼントがあるらしい。その笑みでそれがわかる。
「期待しておいてね」
「君もね」
光男は光男で自分の鞄を見る。黒い大きな鞄であった。
「僕のも期待していいから」
「随分強気なのね」
未来は光男のその言葉に面白そうに笑った。
「いつもよりもずっと」
「それだけのものだと思うから」
本当に自信に満ちた笑みを見せるのだった。
「苦労したし」
「私だって苦労したわよ」
未来も同じ言葉で彼に返すのだった。
「それもかなりね」
「何かお互い苦労したみたいだね」
光男は彼女の言葉も聞いて何かそうした気持ちになった。別に苦労しなくてもいいのにあえて苦労をした、そうしたプレゼントなのだなとも思った。
「けれどそれがね」
「ええ。プレゼントのしがいがあるわ」
未来は言う。
「私もね。光男君もでしょ」
「そうかも。多分未来ちゃんと同じ気持ち」
光男もそれを認めるのだった。
「それじゃあその同じ気持ちで」
「楽しい時間を過ごしましょう」
「クリスマスのね」
そう話をしてそのドイツ料理の店に行く。まずは簡単なサラダとジャガイモのコンソメスープが出る。サラダはともかくスープにジャガイモが入っているのはまたドイツらしかった。
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