九校戦編〈上〉
トーラス・シルバー×飛行魔法について
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れた市原先輩に向かって、中条先輩は大きく首を縦に振った。
「重力に逆らって自分の身体を浮遊させる魔法は、四系統八種の現代魔法が確立された初期から実用化されていますよね」
「そうね。落下による死傷は最も身近なリスクの一つだから」
相槌を打った会長へ。中条先輩の視線が移動する。
「加速・加重系統を得意とする魔法師は、一回の魔法で数十mをジャンプする事が出来ますし、世界には百mを超える高飛び記録を樹立した魔法師もいます。飛び降りる方はもっと凄くて、二千mの高度から、素潜りならぬ素飛び降りを成功させた魔法師もいます」
「それなのに何故、飛行魔法・・・・空を自由に飛び回る魔法が実現できないのか、でしょ?」
「正確には、誰でも使えるように定式化された飛行魔法が何故実現できないのか、ですね。古式魔法の術者の中では、少数ですが、飛行魔法を使いこなしている人達もいますので」
会長のセリフに、市原先輩が捕足を入れるが俺も飛べますけどと言いたいくらいだけど、この空気の中で割って入るのはできないかな。そんでその言葉に無意識に中条先輩は首を横に振った。
「でもそれは、BS魔法師の固有スキルに近いものですし織斑君のエレメンツでの風術なら飛べるかもしれませんけど、それでも共有できなければ技術とは言えません。理論的には、加速・加重系統で重力の影響をキャンセルして空を飛ぶ事は可能です。実際に、跳んだり浮いたりする魔法は技術として定式化しています。なのに何故、飛ぶ事が出来ないのか・・・・」
「その設問に対する答えは、少し高度な参考書なら大抵載っていると思うけど?」
何が納得できないの?と会長が中条先輩に目で訊ねる。あとちゃっかり俺のエレメンツの一つである風術に関する事が出たから説明いらねえなと思った。
「魔法式には終了条件が必ず記述され、終了条件が充たされるまで事象改変は効力を持ち続ける魔法による事象改変が作用中の物体に対して、その魔法とは異なる事象改変を引き起こそうとすれば、作用中の魔法を上回る事象干渉力が必要になる。魔法による飛行中に、加速したり減速したり昇ったり降りたりする為には、その都度、新しい魔法を作動中の魔法に重ね掛けしなければならず、必要なる事象干渉力はその度に増大していく。一人の魔法師に可能な事象干渉力の強度調節は精々十段階程度であり、十回の飛行状態変更で魔法の重ね掛けは限界に達する。・・・・これが一般に言われている、飛行魔法を実用出来ない理由ですよね?」
中条先輩の長い説明を会長は少しも考え込む事なく首肯した。
「何だ。あーちゃん、解っているんじゃない。論点も良く整理されているし。何をそんなに悩んでいたの?」
「これって結局、魔法が作用中の物に魔法を掛けようとするのが問題なんですよね?だったら
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