第四十六話 真意
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沈痛な表情をしている。
「義父上、捕虜交換を軍主導で行えば平民達はこれが私の発案だと考えるとは思いませんか」
「そうだろうな、それがどうかしたか?」
大公は訝しげな顔をしている。何を当たり前のことを、そんな感情が有るのかもしれない。
「このままでは平民達の支持が政府ではなく私に集中しかねません。それがどれ程危険な事か……。この帝国には二百四十億の人間が居ますがその大部分は平民なのです」
ブラウンシュバイク公の思い詰めたような口調に皆が息を呑んだ。口調だけではない、表情も厳しくなっている。
「今は未だ目立ちません。しかしいずれは誰もが気付きます。先ず改革に反対する貴族達が騒ぎ始めるでしょう。ブラウンシュバイク公は平民達を甘やかし支持を集め帝位簒奪を狙っていると。改革を中断させるにはもっとも効果的な中傷、誹謗です」
彼方此方で呻き声が起こった。
「そして私に対する中傷、誹謗が強くなればなるほど平民達は改革の継続を望み私を守ろうと団結する。そうなれば貴族達の思う壺です、連中は平民達を危険分子として弾圧し改革の中止を求めるでしょう。簒奪を防ぐためという大義名分を掲げてです」
皆が固まったまま動かない。有り得ない話ではない、いやそれ以前に平民を軽視し過ぎていたようだ。彼らが一つに纏まり一個人を崇拝するような事になれば確かに危険だ。ルドルフ大帝が銀河帝国を成立させたのも当時の連邦市民の支持が有ればこそだった。
今までは誰もが平民を無視していたから気付かなかった。だが彼らが一つに纏まれば、それを可能にする人物が現れれば……、ブラウンシュバイク公を見た。反逆を起こしそうな覇気や野心は見えない。しかし公ならば可能だろう、宇宙艦隊は公の配下にあるのだ。そして能力も有る。
「確かにブラウンシュバイク公の言う通りだな。リヒテンラーデ侯、ここは政府主導で行くしかあるまい」
「それは良いが政府主導と言っても何をすれば良いのかな、実務を軍が行うとなれば……」
リッテンハイム侯の言葉にリヒテンラーデ侯が困惑したようにブラウンシュバイク公を見た。
「主として平民へのアナウンスです。先ず、多くの兵が捕虜となり残された家族を苦しめている事に言及し政府もそれを憂いている事、捕虜を見捨てたわけではない事を伝え捕虜交換を反乱軍に提案すると発表をします」
「うむ、それで」
「次に反乱軍が捕虜交換を了承した時点でその事を発表し、家族に対しもう少しの辛抱だと伝えます」
「うむ」
ブラウンシュバイク公の言葉にリヒテンラーデ侯が頷く。
「捕虜交換が始まった時点で捕虜に対して捕虜交換が遅れ苦しめた事を謝罪し一時金、一時休暇の支給と一階級昇進を約束します。その後、退役するか軍に復帰するかを決めるようにと伝えるのです」
「なるほどの、随分と手
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