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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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ている。
夜が近づく奥多摩の空の下、モモは焚火から少し離れて寮の壁に背を預けていた。
芋はみんなで食べ尽くした。アザミはぼんやりと火を突き、ムラサキは未だに肉を削いでは炙って食している。タンポポはさっき何処かへ走って行った。
「モモちゃんは火に当たらないの?」
坂崎がモモの傍に歩み寄ってきた。
モモは自分の黒髪を指先で弄びながら、火を遠目に見つめる。
「……何だか……」
火を見ていると身体がざわつく。
全身がむず痒くなる。まるで皮膚の下で無数の毒虫が這い蠢いているような。
痒い。そして、痛い。
人工皮膚と人工筋肉の隙間に沸いた痒痛が、火を見る目から、火を感じる肌から、火を嗅ぐ鼻から、火を聞く耳から、入り込み、浸透していく。
火が身体を蝕み、そして心がチクチクと毒虫の針で刺される。
そんな感覚に、モモは襲われていた。
――そして何故だか。
無性に蔵馬に会いたくなった。
「何だか?」
「……いえ、何でもありません。ちょっと火の熱で逆上せちゃっただけです」
「あんまり身体を冷やすとよくありませんよ。モモちゃんも女の子なんだから」
「ふふ、サキさんは私の事を女の子だと思ってくれているんですね」
「当然です。モモちゃんは素敵な女の子ですよ」
「やめてください」
坂崎の言葉に、モモは壁から背を放して、眼鏡の彼女に向き直る。
正面から、眼鏡の奥の瞳を覗き込む。
「私は人間じゃありません」
「……モモちゃん」
坂崎が続けて何かを言おうとしたが、その言葉は、狂った仔馬のような走りで戻ってきたタンポポの声に遮られた。
「どっでぎだよー!」
火に近づくその足音は、グッショグッショと妙に湿度が高い。
焚火の番をしていたアザミは顔を上げてタンポポに向き直り、そしてあんぐりと口を開けた。
「タンポポ何処に行って……うわっ、こいつ鯉持ってる! どっから獲ってきたの!?」
「玄関前の池がらどっでぎだ……」
タンポポは全身をずぶ濡れにして奥歯を鳴らし、その両腕には巨大な錦鯉がビチビチもがいていた。
この付近に錦鯉がいる場所なんて一つしかない。タンポポの言うとおり、センターの玄関前にある小池で飼われている鯉だ。諜報部長が可愛がっている高級品である。
ムラサキとの物々交換に用いるために、この寒空の下で鯉が泳ぐ冷たい池に飛び込んだのだろう。いいガッツしているが、非常にはた迷惑なガッツだ。
「タンポポ、それ早く元の場所に」
「ふんっ!」
タンポポは暴れる鯉の首を引き千切ってしまった。
アザミは引き攣った笑みを浮かべて、枯れた笑いを吐く。
「は、ははは……こいつバカだわ……」
「ムラザギ
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