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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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はマジックミラーの向こう側を見据える。
 蔵馬が今しがた出てきたそこには鋼鉄で出来た椅子があり、男が縛り付けられていた。
小河内ダム占領の実行者とされているテロリスト、相野だった。

「ダメだな。話したら殺されると思って何も言わん」

「ということは、いつもの奴か」

 やれやれ、と初瀬は肩を持ち上げ、常盤も同じような仕草を取る。
 蔵馬は壁の内線受話器を取って、作戦部長のデスクに繋げる。

「部長。相野の奴、案の定口を割りません。やっていいですか?」

『……許可する』

 受話器を置き、同僚たちに振り返る。

「蔵馬、任せるわ」

「分かった」

 石室に肩を叩かれながら頷き、蔵馬は再び相野がいる尋問部屋に戻る。
 椅子に拘束された中年の男は、部屋に入ってきた蔵馬とは目を合わそうとせずにコンクリートの床を見つめていた。
 ぬめりを帯びた脂汗が、髪を顔を唯一の照明である裸電球の黄色い光で鈍く照らしている。
 緊張と恐怖で筋肉を強張らせ、震えさせている。
 とてもあんな大事件の首謀者とは思えない姿だ。

「優しく聞くのはこれが最後だ。今回の事件、お前たちに連絡を取ってきた人間がいるな? それは誰だ?」

 蔵馬の問いに相野は答えない。

「お前たちに武器や人員を手配したのはそいつだな?」

 相野は唇を噤んで動かない。

「……お前たちの仲間の一人が逃げた。背の高い、人質を突き落とした奴だ。そいつの名前は?」

 相野は顔も上げず、ただ沈黙を守る。
 その様子を見て蔵馬は、ふと気が付いたように声を掛けた。

「もしかしてお前、耳が聞こえないのか?」

 唐突で突拍子のない問いに、相野はつい頭を動かす。
 が、その動きよりも速く、蔵馬の手が相野の頭髪を掴んでいた。
 強引に顔を上げさせ、椅子の背もたれに押し付ける様に固定する。
そしてスーツのポケットから小型のバタフライナイフを取り出した。運指でナイフを開き、

「耳が聞こえないのは、耳垢が詰まってる証拠だ。待ってろ、すぐに聞こえる様にしてやる」

 相野の左耳にナイフを刀身半ばまで刺し込んだ。

「やっぱり耳垢溜まってるな! 待ってろ、すぐに綺麗にしてやる!」

「あっ……あああああああああ!!」

 相野の、男の喉から出たとは思えない程けたたましい悲鳴。
 その中で蔵馬はナイフを前後左右に掻き回して、耳孔の肉と骨を削ぎ切っていく。
 耳道を切り裂き、鼓膜が突き破れる。
 内耳神経が膾になり、相野の平衡感覚は永遠に失われる。

「ああああああああ! やめええええええええええ!!」

 ゴリコリゴリコリゴリコリゴリコリ。
 頭蓋と耳の軟骨が異音を相野の脳に直接響かせる。
「メエエエエじ
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