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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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「だって焼き芋やってみたかったんだもん!」
「……うち別に茹で芋とかでよかったのに」
「じゃあムラサキにはお芋食べさせてあげない! 一人で茹でて食べてれば
いいじゃない!」
「私が育てた芋だっつの……」
騒ぐタンポポと呆れた様に呟くアザミを余所に、ムラサキは無表情のまま外衣の懐からかなり大きなタッパーとシースナイフを取り出す。タッパーの中身は赤身の多い肉の塊だった。
「何それ!? お肉!? タンポポも食べたい!」
タンポポを無視して、ムラサキは肉をナイフで小さく切り取り、表面を削いで串状にした枯れ枝に刺す。
そして、それを火にかざして一人でBBQを始めた。
「ムラサキ! タンポポもお肉食べたい!」
「……これうちが獲ってきた鹿肉。タンポポはお芋さん食べとき」
「じゃあじゃあ、タンポポのお芋と交換しよ!」
「……全部くれるならいいよ」
「うううううー! 意地悪だ! ムラサキ意地悪だよ!」
「だから、私の芋を勝手にバーターするのやめなよ」
アザミは喧嘩を始めた二人に肩をすくめ、その様子を後ろからモモと坂崎が眺める。
火を囲んだそこには、義体たちの日常は無かった。
ナイフも銃も固めた拳も無い。
火薬の臭いも血の色も無い。
義体たちの非日常だった。
センターには大きく分けて三つの建築物がある。
義体の研究を行う技術棟。作戦部や諜報部のデスクがある本部棟。センターで働く者や義体たちが寝泊まりする職員寮。
森林をくり抜いて木々に囲まれた敷地のほぼ中央に本部棟があり、それと隣接してL字型の技術棟。それらの周りに点々と職員寮。
さらにその外郭に食堂や体育館、車両などを収容する大型倉庫がある。
そして運動場や射撃場、フィールドアスレチック、キリングハウスが連なり、その先はもう深い奥多摩の森だ。
蔵馬は、敷地の中心である本部棟の地下にいた。
本部棟の地下は三階まであり、主な使用用途は倉庫と拘留所だ。
蔵馬がいるのは地下二階の拘留所。その最奥にある部屋だ。
その部屋は薄暗く、中央がマジックミラーで間仕切られて二分割されている。
ここは尋問用の部屋だった。
「あれ、坂崎は?」
マジックミラーに囲まれた尋問部屋から出てきた蔵馬は、上司の女がいないことに気付く。
いるのは常盤に石室、初瀬。そして諜報部員が数名。
「約束があるからって出て行ったよ。まあ、あの子がいても仕方ないしね」
壁にもたれて腕を組む石室が答える。
「ま、後で書類に纏められたのを読めばいいもんな。それがデスク組の仕事だ」
「それで、僕たちの仕事はどうだい?」
咥えていたキャスターを携帯灰皿に入れ、常盤
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