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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
05話 蒼き将
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った煌めく滴を俺は見逃さなかった。









「―――さて、篁中尉。」
「はい。」

 促されるまま後を着いていた唯依に斑鳩嵩継が不意に話しかけた。

「そう畏まらないでくれないかな。とって食う訳でもないからね。」
「申し訳ありません…しかし、摂家の方とお言葉を交わすのなら当然の態度かと。」

「やれやれ、気を許してもらえないのは私の不徳とするところか、それとも君の篤実によるものか―――そういうところは恭子によく似ているよ。やはり血が繋がっているだけはあるね。」
「お戯れを……」

「はっはっは、そういう冷たく張りつめた表情もまた雅やかだが、凛とした微笑みの方がずっと素敵だよ―――きっと、彼も其方の方が気に入るだろう。」


 何を考えているのか察することの出来ない、まるで富士の樹海の闇を見ているような気分にさせる斑鳩嵩継の深遠なる微笑み。


「斑鳩中佐、それよりわざわざ私のような一兵卒にお声がけした理由をお聞かせ貰えないでしょうか。」
「ふむ、せっかちだね……要件というのは君の意志を確認しておきたくてね。」

「意志……?」
「そう、君は御父上の意志を継ぎ、戦術機開発に身を投じるか否か…その是非を問いたい。」
「問うまでも有りません。私は篁の次期頭首です、そして父の無念を晴らす事こそ私の使命と心得ています。」

 斑鳩の剣呑とした重圧を感じる問いかけ、それに対し唯依は真っ向から見返し、凛とした声で答えた。
 唯依の胸に刻まれた、亡き父の想い。

 瑞鶴では多くの衛士をむざむざ死なさせてしまったという無念、そして苦心の末完成した武御雷は生産性と整備性に難を残し、如何に高性能だろうと前線の衛士に行きわたらず、整備も難しいのではその無念を晴らすには至らない。

 其れを晴らし、日本を取り戻し先に逝った戦友に報いるまでは、篁唯依は止まれない。


「よい答えだよ――しかし、君だけでは成し遂げる事叶わぬだろうね。」
「それは……どういう意味でしょうか。」

 そんな唯依の答えに対し否定を口にする斑鳩嵩継。
 ただ事実だけを口にしている、そんな冷たさが彼の口調にはあった。


「ならば逆に聞くが、戦術機とはその特性は古今の兵器の中で何が最も近いと思うかね?」
「……敢えて言うのなら攻撃ヘリが一番近いと思います。」

「そうだね、軍事評論家はそのようによく言っている。半端な戦車、高コストな攻撃ヘリ、木偶の強化外骨格、散々な評価だ。―――だが、実際は違う。戦術機が最も近いのは騎馬だよ。
 彼の祖父はね、光菱と関係の深い土佐山之内に代々仕え、その騎馬をこしらえていた家系だ。そして戦術機とは騎馬と武具の融合とも言える存在だ。
 だからこそ私はね、君と彼なら“帝
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