MR編
百三十七話 大乱闘
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ヤァッ!」
「……ッ!」
させない。と追撃をしようとして、しかし、割りこむように、右前方から今度はケットシーの少年が剣を振り下ろしてきた。
受け止めたククリナイフ地味た曲剣の振り下ろしを右手の剣の腹で受け流すと、即座に左のエクスキャリバーが相手を切り裂く。
《世界最強》の名に違わず、キリトの持つ《聖剣エクスキャリバー》は、他の剣とは一線を画した片手剣としては破格の威力を誇る。具体的に言うなら、重装鎧のノーム相手に正面から撃ち込んでクリティカルポイントにクリーンヒットなら一撃でHP八割食えるほどだ。実験台になっていただいたE氏に曰わく、「いきなり全部削られんじゃねぇかとヒヤヒヤした」くらいである。
いずれにせよ、それだけの破壊力を孕んだ一撃を受けて無事でいられるほど頑強な装備は目の前の彼にも無かったらしかった。深く鋭く刻まれた刃の跡は朱いポリゴンをまき散らした後、即座に彼を爆炎に変える。
「左から更に一……ッ!気を付けて下さい!その向こうにスペル詠唱をしている人が居ます!」
「ッ、フッ!」
左から振り下ろされたメイスを、サイドステップで躱す。と、ユイの警告に従いキリトはそちらを見た。両手持ちの重戦槌使いの巨体で気が付かなかったが、その向こうに浮かぶ光る文字は、確かにスペル詠唱の光だ。
「いまだ、やれ!」
「ラウス・ウラ──」
「っ!」
「パパ!回避してください!」
言うと同時にメイス使いは左に退く。その向こうに居たのはやはり詠唱途中のメイジだ。キリトが知る限り、浮かんでいる式句から考えて打ち出されるのは《バーナー・ブレイズ》と呼ばれる持続放射型の火炎放射のような魔法。浮かぶ文字を見るに完成までは残り3ワード、だが、ユイの言うようなステップ回避ははっきり言って間に合わない!
『なら……!』
バンッ!と音を立てて、正面に向けて加速。詠唱中のサラマンダーに向けて一気に距離を詰める。と行っても、詠唱が終わる前に詠唱を潰せると思っている訳ではない。三ワード、距離は10m少し。今の自分の敏捷値ではどうあがいても剣一本分足りないと、キリトには分かって居た。だが……
「すぅ……」
息を吸いこんで、止める。この世界に置いて、人間の代謝機能の全ては現実世界の通りには働かない。だから“息を吸い込む”と言う事自体は、正直な所意味が無い。しかし、気迫を込めると言う意味に置いて、呼吸と言うのは割に重要な物だと言う事を、キリトは経験から知っていた。
「ラーラス・ヴォルド!」
ついにスペルが完成し、宙に浮かぶ文字たちが一斉に収縮する。其れは一つの巨大な炎となり、其れを見ると同時に、キリトは構えた。
取る構えは、慣れ親しんだ物。《剣を担ぐように引き絞り、もう片方の手を前に突き出す》左手のエクスキャ
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