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SAO─戦士達の物語
MR編
百三十七話 大乱闘
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に……」
硬直の解けたアイリが立ち上がり、左手を前に、右手を顔の真横辺りまで引いた構えをとる。

「こういうやり方は、私としてもあんまり気に食わないの。だから、今日は容赦はしないわ」
鋭く、針のような気迫が周囲を突き、アイリはその様子を見て、くすりと笑った。
ヤミ……杏奈は元々、他人を思いやり、とても責任感の強い、真摯な女性だ。その強さと真っ直ぐな心意気には、アイリ/美雨自身憧れるを抱く事もある。心地よい頼もしさを感じながら、アイリはニコリと笑った。

「うんうん!其れでこそヤミだよ!さーて、其れじゃ私も全力全開で……!」
「アイリの場合何時だって全力全壊でしょ?」
「あ、ヤミひどい!それどーいう意味!?」
「さぁね」
言いかけた言葉に割り込まれたアイリが心底不満げに返すが、アウィンは肩をすくめるだけで返す。と、次の瞬間、彼女達の周囲で銀色の光が閃いた。

「ふっ!」
「わっ、と!」
向かって来た片手剣とダガーを、アイリの刀とアウィンのクローが次々に叩き落とす。とは言え、防御しているだけでは埒が空かない。さてどうしたものかと考え始めた二人の前で、痺れを斬らしたのは、敵方のメンバーだった。

「どけっ!俺がやる!」
アウィンの前に居たダガー使いが突然飛びのいたかと思うと、その向こうから巨漢の大剣使いが突っ込んで来る。振りあげた大剣は大型でどう考えても正面からでは敏捷型のアウィンには分が悪い。かと言って下手に躱せば、後方で背中合わせの格好で居るアイリにその剣が当たりかねない。だが……

「全く……アイリ」
「おっけー!」
言ったのと殆ど同じくらいのタイミングで大剣使いはアウィンの目の前まで到達すると、オレンジ色の光を纏ったその肉厚な剣を真っ直ぐに振り下ろした。

「泣かせてやんよぉ!」
「あら奇遇ね」
安っぽい台詞を吐きながら振り下ろす刃を、アウィンはクローを剣の腹に押し当て、自身の後方に受け流す形で躱す。その様子を見て、大剣使いが二ヤリと笑った。大方、後方に居るアイリに自分の刃が当たるとでも思ったのだろう。彼がそう思うのは勝手だが、其れは勘違いと言う物だ。

現実に彼が大剣を振り下ろした先には、誰も居なかった。

「なっ!?」
「私も同じような事考えてたわ。ただし……」
次の瞬間、彼の大剣に、ズシンっ!と良う衝撃が走り、同時にアウィンは彼に興味を無くしたように振り向き背を向けた。代わりに彼の目の前には少女が居る。小柄でスタイルの良いシルフの少女だ。それだけなら、唯の可愛らしい妖精少女だっただろう。その瞳が、爛々と輝きながら、自分の首筋を見据えて居なければ。あるいは、その右足が彼の自慢の大剣を踏みつけ、地面にめり込ませて居なければ。あるいはその少女が、両手で持った刀を首周りを旋回しそうなほどに担ぐよ
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