MR編
百三十七話 大乱闘
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ルサス》
両肩、腹部、両足其々に合計八連の突きを喰らったアサシンタイプの男はあっという間にHPを0にしてエンドフレイムをまき散らして散り、硬直が解けるとヒョウセツはそのまま槍を音高く鳴らして二回転、再び斜め下に切っ先を向けるようにして構え直す。
「ひ、ヒーラーだったんじゃ……」
「今は違います」
かなり動揺した様子で言った目の前に立つ敵の前衛達を一瞥、冷やかに否定して、ヒョウセツは真っ直ぐに眼前の敵を見据えた。
今更ではあるのだが、忘れてはいけない。彼女は元々、サラマンダー軍でもユージン将軍と並ぶ腕を持つ、生粋の槍使いなのだ。
「僭越ながら……未だ未熟では有りますが、此処からは直槍にてお相手をさせていただきます。どうぞお手柔らかに……参ります」
その後彼女には、《二人目の狂治癒師》等と言う不本意な二つ名が付いたとか……
────
「全く、急に呼び出したかと思えば……っ!」
クローの尖端で受けた大剣の一撃を、そのまま滑らせて逸らし、左のクローを鎧の首元に突き込むと、捻り引き抜く。其れでアウィンは四人目の敵を屠り、左から接近して来たヘビーランスを受け流す。
「つくづく自分勝手で結構な事ね!」
彼女が文句を言っているのは勿論、彼女の学校の生徒会会計事、リョウコウの事だ。冬休みも間も無く終わりと言う時期の最後の休みを満喫していたら、行き成り携帯のメールでリョウに呼び出され、あれよあれよと言う間に大乱戦だ。ふざけんなと怒鳴りたいのをこれでもかなり我慢して……
「全く……」
「ふげっ!?」
ギャリギャリと耳障りな音を立てながら一気に槍使いとの間合いを詰めると、槍を支えていた右のクローでランスを軽く弾き落とし、即座に左のクローの尖端を合わせて正面に突き出して構える。と、灰色のライトエフェクトに包まれたクローが即座にその身体が空中に浮き上がって回転し、まるでドリルのように相手の腹部を突きさし、かき混ぜ、貫き……
「ふざけんなってのよ!!」
最後に着地。と同時に、左右に引き裂いた。
クロー 突進技 《スメルチ・クルィーク》
失礼、前言撤回である。
高威力の突進スキルを使用し、着地したアウィンの硬直時間はおよそ二秒弱。その隙をみすみす逃がしておくほど周囲のプレイヤーたちも甘くは無い。当然周囲の片手剣やダガー使いのプレイヤー、合計で三人ほどが、一気に彼女に迫り……
「──でも、そう言いながら協力してくれるんだよね〜ヤミは優しいね!」
向かって来ていた彼等の剣が突如飛び込んできた声と共に弾き返された。アウィンの後ろにストンと降り立ち、背中を守るようにヒュンッ、と片手に持った刀を正面に立つ剣士に向ける。
「アイリ……あのねぇ、仕方ないでしょう?アスナの事情だって話だったし。それ
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