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SAO─戦士達の物語
MR編
百三十七話 大乱闘
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ーはしかし、少しだけ俯いて、唸るように言った。

「……うるせぇよ……お前らは何時もそうだ……ぽっと出て来て、才能だのVR慣れだのでこっちが積み上げてきたもんをかき回して台無しにしやがって……!!」
「…………」
きっと彼の言う“お前ら”と言うのは、あらゆるVRワールドのトッププレイヤーたちの事を指しているのだろう。
残念ながらVRMMOが登場して以降、ゲームの世界にもまた、“才能”と言う要素が強く目立つ形で持ち込まれるようになってしまった。「時間さえかければ」「頑張ってさえいれば」そんな、誰にでも出来る要素によって強くなることのできる……ある意味では、平等と言える世界の中に現れた才能と言う名の要素は、時折こうした元々ゲームの“平等性”に惹かれてやってきたプレイヤーの心に、暗い影を落とす事が有る。

「お前らみたいな才能野郎に必死こいてプレイして数値で強くなろうとしてる俺達の、何が分かるっ!!」
「……ったく……」
言いながら手に持った斧を振りあげ突進してくるリーダーに、リョウは冷裂を構えた。その刃に、白い光が灯る。

「仕方ねぇだろ……」
「ッ!?」
ヒュン!と音を立てて、リョウの身体が回転した。咄嗟に突進を止め、斧でガードした彼の手に、凄まじい衝撃が連続して駆け抜けた。

「なぐぁっ!?」
重複したとんでもない重さの衝撃が、彼の手から斧を弾き飛ばす。と思った時には、薙刀を構えていた筈の男は、視界から消えて……

「ぅぐぉ……!?」
と、突然、わき腹から朱いポリゴンが吹き出した。斬られた、そう彼が理解した次の瞬間……

「……ぐぶッ……!?」
後方からの斬撃が、彼を肩口からわき腹に向けて、真っ二つに切り裂き……小さな残り火(リメントライト)に変えた。

『なに、が……!?』
「こうでもならなきゃ、生きて行けねー世界もあったんだよ……」
男の声が、重々しく響く。

薙刀 五連撃 OSS 《白尾(はくび)

────

「ふーぅ……おわった、な」
「兄貴」
「おう、キリト。ワイフに良いとこ魅せられて良かったじゃねぇか」
「いや、そう言うつもりでやったんじゃないからな!?」
敵のリメントライトが消えた回廊で、リョウのニヤニヤとした笑いに苦笑しながらキリトが突っ込む。てれ隠しなのかどうなのかは分からなかったが、この少年は素で、かつ無自覚にしょっちゅう恰好を付けるので、まぁ今回も本当にそう言うつもりは無いのだろう。
そんな事を思いつつ、リョウは今度は彼の肩に乗った姪っ子に問うた。

「そういうなって、なぁユイ坊?」
「はい!とってもカッコ良かったです!パパ!」
「はは、そりゃどーも。ユイも、ありがとな。助かったよ」
どうやら兄貴分の言葉は素直に受け付けられなくても、娘の褒め言葉は
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