第四話 夢のようじゃな……。
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多村君」
自分で自分をアナウンスしてからバッターボックスに入った。
過去の対戦では直球を多く投げられた。
だけど今日は……。
______ブン。
遅い球を空振りした。
今のはチェンジアップだ。
さすがは元星秀学園一軍メンバーだ。俺の弱点も、わかっているようだ。
2球目は外角低めに直球を投げてきた。
外れてボールになったが今日投げた直球の中で一番速かった。
3球目を投げてきたので見逃すと内角低めにチェンジアップが外れ、カウントはワンストライク、ツーボールとなった。
4球目。アイツは俺の顔を睨みつけてきた。
おや、あの顔は……。
『ストレート!』
いないはずの若葉の声が聞こえ、俺は反射的にバットを振っていた。
バットにボールが当たる独特な感触を手に感じ振り抜くと甲高い音が鳴り響き白球はセンター方向に高く飛んでいった。
白球はセンターの頭上よりかなり高い位置で失速し、そのまま応援席に入っていった。
スリーランホームラン。
一回表で4点を取った。
もしかして俺達、強いんじゃねえ?
ベンチに戻ると前野監督が呟いていた。
「夢のようじゃな……」
下位打線を抑えられ、試合は進み九回裏。
7回に失策や詰まったヒットで一点を返されて、現在スコアは4ー1。
この回を抑えれば優勝だ。
緊張の為かこの回からストライクが入らなくなって無死満塁のピンチになっている。
打席にはエースの神川。
_______キーン。
3球目だった。
高めに浮いた真っ直ぐを完璧にライト方向に打ち返され俺は久しぶりにホームランを打たれた。
負けたんだ。俺たちは。
「負けたんだ……」
そう言って体を動かすと柔らかい感触がした。
左隣を見ると何故か全裸の青葉がいた。
右隣にはあかねちゃんがやっぱり全裸で腕に抱きついていた。
ああ、わかった。
これは……。
「夢オチかよ??」
叫ぶと案の定、宿舎の布団の上にいた。
どうやら続けて夢を見ていたらしい。
2試合続けて打たれる夢とか勘弁してほしい。
正夢じゃないことを願う。
寝覚めは悪いが身体的には休めた。
明日には練習をできそうだ。
起き上がり下の階のラウンジに行くとそこには青葉がいた。
夢で見たシュチュエーションとほとんど同じだ。
青葉の側に近寄ると俺は青葉に声をかけた。
「ちょっと付き合え」
「はぁ?」
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