第65話 蚊だって生きている
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処はそのぉ……」
【………い】
「へ?」
【………だい】
ぼそぼそと、白い着物の女の口から言葉が発せられていた。だが、とてもか細い声の為に何を言っているのかさっぱり分からない。
「あのぉ、何を言ってるのか分からないんだけどぉ、もちっと大きな声で言ってくれない?」
「お、おい……足元……足元!」
わなわなと震える指で土方が指差す。それを見て一同が足元を見た。
足元に広がっていた血の池が女の脚を伝って一人でに昇って行ってるのだ。どんどん、どんどんと血の池が女の体へと昇っていき、昇って行った血はやがて、女の純白の着物を真っ赤な血の色へと染め上げていく。
やがて、足元周辺に広がっていた血の池は完全に干上がり、その代わりとして女の着物は真っ白な色から真っ赤な色へと変色する。
色が変わったのと同時に、女の顔が三人の方へと向けられる。
女の目は見えなかった。長い髪が女の目を覆い隠していたのだ。
見えたのは女の不気味な口元しか見えない。
その女の口元が、突如としてにんまりと微笑だした。
【貴方たちの……血を……ちょうだい】
微かにではあったが、確実に聞こえた声であった。
それ以降の事は残念ながら分からない。ただ、その声を聴いた後、銀時、土方、そしてシグナム。三人の絶叫にも似た断末魔が屯所中に響き渡ったのは丁度この後の事であったそうだ。
***
「よくやってくれた! 俺達真選組一同礼を言わせて貰うよ」
時刻はすっかり夜が明け、朝になっていた。空にはさんさんと輝く太陽の下で、庭先にある一本の巨木の下で宙吊りとされている今回の事件の下手人でもある赤い着物の女を見ていた。
それを見て未だに青ざめる隊士達と近藤。そんな近藤達とは対照的に、とても誇らしげな顔をしている待機組のメンバー達。
「いやぁ、夜中に土方さんと旦那、それに姐さん達の悲鳴が聞こえたもんでしてねぇ、皆で慌てて声のした所に行ったら案の定ってところでしたぁ」
「良く分からないんですけど、何か気を失ってましたし、今回の下手人っぽかったんで皆で縛り上げて此処に吊るしたんですよ」
それは、昨晩の事であった。三人の断末魔の声を聴き、部屋で呑気にUNOをやっていた待機組メンバーが急ぎ現場へと駆けつけると、其処にはうつ伏せに倒れている赤い着物の女の姿があったのだ。
その風貌を見る限り今回の事件の下手人だと予想した沖田は懐からSMプレイ用のロープを取り出し、見事な手腕であっと言う間に赤い着物の女を縛り上げて宙吊りにしてしまったのであった。
かくして、赤い着物の女事件は真選組一番隊隊長の沖田総梧率いる待機組メンバー達によって無事に解決されたのであった。
「流石ははやてちゃんね。まさ
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