第65話 蚊だって生きている
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して激闘、それらの一部始終が。
「おら、さっさと起きろ!」
「うっ……づっ!」
何時までも赤い服の女の横で横になりっぱなしのシグナムに声を掛ける。
その声に呼応するかの様に痛そうに頭を押さえながらシグナムは起き上がった。
「ったく、人の顔面に向かって下手人を投げるとは、貴様らそれでも侍か! 全く」
「てめぇも人の事言えねぇだろうが! それよりも、とっととこのはた迷惑な下手人をしょっ引くぞ。今回の騒動の首謀者だからな」
善は急げとばかりに未だに意識を失っている下手人を捕縛しようと縄を取り出して縛り上げようとする真選組メンバーの二人。
そんな二人の作業を傍観する銀時。
だが、そんな矢先の事であった。
ふと、三人の目の前にそれが映った。
それは、三人が潜った池のすぐ近くの木の下であった。その木の幹付近でまた女が一人立ち尽くしていたのだ。
先の赤い着物の女と同じ黒の長髪なのだが、今度のは白い着物だった。
「なんだぁ? また幽霊詐欺のお方ですかぁ? 生憎、家はそんな輩はお断りしてるんでぇ、さっさと退散して貰えますぅ?」
「俺達警官を侮辱するたぁ良い度胸だ。こいつも纏めてしょっ引くぞ!」
「懲りない奴だ。我等に同じ手が二度も通じると思うなよ」
先ほどとは打って変わり、完全に強気になった三人が白い着物の女に群がっていく。本来なら怖がる場面であるのだが、先の赤い着物の騒動の後であるが故か、どうせこいつも天人の類だろうと予想していたようだ。
いや、その予想はもはや確信とも言えた。ともかく、こんなはた迷惑な輩がこれ以上うろつかないように確実に捕縛する必要がある。
「おい、中に入れ! 不法侵入罪と警官侮辱罪だ。朝方までみっちり説教してやるよこの腐れ天人……ん?」
白い着物の女の手を取った時、土方の手に伝わったのは不気味なほどの冷たさだった。
そして、それと同時に伝わる嫌悪感。ぬめり気がある冷たい手であった。
それも、ただのぬめりじゃない。何処か不気味な湿り気を持っていた。
土方は手を放し、女を掴んでいた手を自分の目の前に持ってきた。
土方の手は真っ赤に濡れていた。そして、濡れた手から漂う鉄臭い匂い。
其処から察するに、これは血であった。
銀時、そしてシグナムもまた土方の濡れた真っ赤な手を見て真っ青な顔へと変色してしまった。
ポタリ、ポタリ……
何かが滴る音がする。それは、白い着物の女の足元から聞こえる音であった。
視線を下ろすと、女の足元の周囲が赤い水たまりとなっていたのだ。
女は血の池の上に立っていたのだ。
「えと……お嬢さん? 場所を間違えたんじゃないかなぁ? ここは真選組屯所って言ってぇ、江戸の治安を守る場所なんだよ。だから、此
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