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駄目親父としっかり娘の珍道中
第65話 蚊だって生きている
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 熱いから、ライト近すぎだから!」

 喧々囂々。まるで犬と猿の喧嘩、はたまた雄猫同士の喧嘩にも似た全く以って見てても何の得にもならない時間の無駄とも思える光景が展開されていた。

「おい、お前らいい加減に―――」

 このままだと埒があかないとばかりにシグナムが喧嘩の仲裁に入ろうとした正にその刹那だった。
 三人の背筋が突如としてゾクリと震え上がったのだ。
 背筋を駆け上がる不気味な悪寒。チリチリと首筋に伝わる危険信号。
 それに相乗効果を植え付けるかの如く辺りの暗さが一層際立って感じ取れた。
 今更になって自分たちが明かりのない薄暗い不気味な環境の中に立たされている事を痛感させられる事に気づいた。
 そして、それに気づいた途端三人の表情が徐々に青ざめだした。
 今更胆が冷えだしたのだ。
 本当に今更―――

「お、おいお前ら……何顔真っ青にしてんの? ままま、まさかビビッてんじゃねぇよなぁ?」

 茶化すかの様に言い放つ銀時ではあったが、その声は異様に震え上がっていた。

「びびび……ビビッてる訳ねぇじゃんかよ! おおお俺たちは仮にも真選組なんだぜぇ。それがここここんな状況でビビる筈がねぇだろうが! なぁ―――」

 銀時の言い分を真っ向から否定するかの如く土方は声を発したのだが、その声色には覇気が感じ取れず、呂律も良くは回っていない。
 普段の土方ではありえない言動であった。
 それに、気のせいか冷や汗が流れ続け、肩も震えている。視線も泳いでおり焦点が定まっていない。これだけでもう十分彼がビビッていると言う揺るぎない事実を突きつける結果となってしまった。

「へへへ、へぇ? さ……さっすが鬼の副長だねぇ。んじゃその腰巾着さんはどどど、どうなんだい?」
「だだ、誰が腰巾着だ! 私も土方とどど、同意見だぞ! たたたたかが暗闇程度でビビる筈がないだろうが!」

 土方と同様にシグナムもまた銀時の言い分を否定して見せたのは良かったが、相も変わらず呂律が全然回っていないせいか同じようにビビッているのが丸わかりとなってしまった。
 まぁ、要するに此処にいる三人が揃ってビビりまくっていると言う訳なのではあるが。

「へへっ、なぁんだお前ら。口ではビビッてないって言ってる癖してビビりまくってるじゃねぇか。顔が真っ青だぜぇおい」
「アホか、そう言ってるてめぇだって膝がガクガク震えてるじゃねぇかよ。お前こそビビッてるんだろ? ビビッてるんだよなぁ」
「馬鹿かお前、これはあれだよ。武者震いって奴だよ! そう言うお前こそどうなんだよ。大前なんて膝どころか全身ブルブル震えてるじゃねぇか。あれですか? 巷で流行のデュアルショックのつもりですか?」
「てめぇと同じだよ。俺も武者震いしてんだよ」

 互いにメンチ
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