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リメイク版FF3・短編集
消えゆく者・生き続ける想い
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れてないの、かよ。庇ってやったのに────ヒドイやつだなぁ」


 ルーネスは、今にも閉ざしてしまいそうな霞んだ目で私を見ながら、微かな笑みを浮かべた。

………笑えない冗談だ。素直に云えばいいのか、自分を庇ってくれてありがとうと。

哀しめばいいのか、私を庇ったばかりにお前が死にゆくのを。


「自分のこと、責めんなよ。おれが勝手に、した事だから、さ───── 」


 云い終えるなり、首から上、そして足先まで漆黒に染まり、遂にはルーネスという存在が、ただの黒い塊となって崩れ去り、残骸すらも、地面に染み入るように消えてしまった。


────私は、結局何も云えなかった。


云ってやれなかった。

勝手に逝くな、と。

私に借りを作ったまま居なくなるな、と。


………不意に、水の洞窟内が震動し始めた。

このまま自分も、この洞窟と共に埋もれてしまえばいい。

頭の片隅で、私はそう思っていた。





 その後、復活した地上世界のアムルの街で我々は目覚めた。

水の巫女も、共に居た。


────彼女は云った。

あなた達と共に行かせて下さい、と。

ルーネスの代わりにはなれないが、それでも彼に代わって使命を果たしたい、と。


………断れる筈もなかった。

彼女の毅然とした姿勢に、我々は身が引き締まる思いだった。


そうだ、立ち止まってはいられない。

あいつの────ルーネスの分まで我々は、やらなければならない事がある。


生き抜かなければ。


あいつが存在していた記憶を、我々が紡いでゆく為に。

こちらが生きてさえいれば、居なくなってしまった存在も心の中に生き続ける。


いつかは自分も死ぬ。


だがそれは今じゃない。


心の中でお前を生かし続ける為、私達は今を──────


これからを生きよう。




End
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